一塁で止まれば達成も…東邦・藤嶋 “サイクル超え”4安打6打点

[ 2016年8月9日 05:30 ]

<東邦・北陸>6回、あと短打でサイクル達成の場面で東邦・藤嶋はちゅうちょなく一塁を回り、二塁打とする

第98回全国高校野球選手権第2日・1回戦 東邦19―9北陸

(8月8日 甲子園)
 1回戦4試合が行われた。第4試合では東邦(愛知)の打線が24安打と爆発し、19―9で北陸(福井)に圧勝。藤嶋健人投手(3年)が単打で出ればサイクル安打達成という場面で二塁打を放つなど、4安打6打点と活躍した。第3試合では履正社(大阪)が高川学園(山口)に5―1で快勝。今秋ドラフト1位候補の寺島成輝投手(3年)が自己最速の150キロをマークし、2安打1失点完投で11三振を奪った。

 一塁ベースを迷わず蹴って二塁を陥れた。6回2死二塁。シングルヒットでサイクル安打の場面で、藤嶋が捉えた打球は中堅左を襲った。一塁で止まることを許してくれない痛烈な当たり。8回の最終打席は遊ゴロに終わり、史上6人目の快挙は幻に終わった。
 毎回の24安打19得点の記録的な大勝劇。その主役がこの日は「4番・右翼」で出場した藤嶋だった。自身2年ぶりの夏の舞台で歴史に名を刻むチャンスを逃したが「二塁に進めばヒット1本で帰ってこられる。まずチームが勝つこと」とまるで意に介さない。それよりも最後の打席の遊ゴロ凡退を「まだまだそれだけのバッターということです」と悔やんだ。
 まるで別人だ。愛知大会では13打数1安打、打率・077と不振を極めたが、大好きな甲子園で打棒が復活した。まずは3回に右中間三塁打。一気に12点を奪った4回には高校通算49号の右中間3ランと左翼線2点二塁打。1人で4安打6打点を叩き出した。
 今春センバツでは2回戦で明石商に零敗を喫した。試合前、藤嶋は「お祭り騒ぎだ。ドンチャン騒ぎでいこうや」とナインに声を掛けた。魔法の言葉でリラックスさせた主将は「楽しまずに終わると後悔する。みんなそう思ってますよ」と満面の笑みで語った。
 2年前、77年夏に東邦を準優勝に導いた1年生エースの「バンビ」こと坂本佳一にちなんで「バンビ2世」の愛称がついた。この日は最速146キロを誇る投手としての出番はなかったが、「サイクル超え」でスタンドを魅了した。藤嶋にはやっぱり甲子園の舞台がよく似合う。

 ≪イニング最多得点は14点≫東邦が4回に10者連続得点を含む大量12点。イニング最多得点は23年立命館中(台北一中戦)の14点で、12点は歴代3位タイ。イニング全員得点は昨年の鹿児島実(北海戦)以来8度目、イニング4二塁打は昨年の仙台育英(明豊戦)以来11度目の大会タイ記録となった。また両チーム合計安打数は39。9回試合では85年PL学園―東海大山形戦(41安打)に次ぎ2位タイ。

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