マートン 復活へ指揮官と71分間、熱い打撃論かわす

[ 2015年6月19日 08:00 ]

マートンは和田監督(左)オマリーコーチ(右)らと打撃について長時間話し合う

 打撃不振からの脱出を期す阪神のマット・マートン外野手(33)が18日、和田豊監督(52)らとグラウンド上で71分間に及ぶ熱い打撃論をかわした。甲子園球場での全体練習に参加。フリー打撃終了後に指揮官と向き合い、技術的な確認もさることながら悩める胸中を吐露。20日からのリーグ戦再開に向け、文字通りの心機一転をはかった。

 話し合いの輪が解けると、マートンの横顔には笑みが浮かんでいた。和田監督、関川、オマリー両打撃コーチに囲まれて71分の長きに及んだ打撃論。時を忘れ、思いの丈をすべて、ぶつけることができたのだろう。マートン自身が多くを語ることはなかったが、打撃不振に悩む今季、何度も散見された苦悩の色は和らいだように見えた。

 「(ハードな)練習もなかったからね。野球が好きだから、野球の話をしただけだよ」

 フリー打撃を終えると、まずはオマリーコーチと話を始めた。その間、上本の打撃練習を見つめていた和田監督も全体練習終了を待ってマートンの元へ。断続的に降った小雨も気にならない。スイングの軌道を確かめたかと思えば、次の瞬間からは再び話し込む。和田監督はマートンの言葉にじっくりと耳を傾けた。

 「バッティングのレベルが高いがゆえに、追求心がある。そこでいろいろと考えて、深みにはまってしまう。ピッチャーとではなく、自分と戦っている。考えすぎてボールを打ちにいって形を崩している」

 指揮官が指摘したように、打撃不振の原因は明らかだ。全体的に広くなったとされる今季のストライクゾーン。選球眼には絶対の自信を持つがゆえに、その“変化”に対応できず開幕から2カ月が経過した。打率・243、0本塁打、19打点は過去5年間では考えられない数字…。聞き役に徹した監督は簡潔に「シンプルに基本に返って、ストライクゾーンを打てばいい」というアドバイスだけは送った。

 グラウンドでの“会談”は監督就任4年目で初めてだが、クラブハウス内では何度も意見交換をしてきた。打撃復活にかける思いも同じ。マートンもまた、前日17日には休日を返上し、室内練習場と黙々とマシン特打を行ったという。オマリーコーチも、期待を込めて言う。

 「そういう不安を取り除くというか、たくさん話すことでクリアになることもある。それが大事だし、ヒットも出るだろう。良い一日になったと思うよ」

 今季初の2試合連続先発落ちを経て復帰した14日のオリックス戦では2安打しながら、続く16日の日本ハム戦は5打数無安打。一進一退の状況が続く中、曇天の下で交わした緊急討論が、ターニングポイントになると信じたい。

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2015年6月19日のニュース