阪神・上本 直前スクイズ失敗取り返した 天敵吉見からV打

[ 2014年7月17日 07:40 ]

<中・神>6回1死二、三塁、上本は左前適時打を放つ

セ・リーグ 阪神2-0中日

(7月16日 ナゴヤD)
 連勝ターンだ! 阪神の上本博紀内野手(28)は中日戦(ナゴヤドーム)の6回、1死二、三塁から左前へ決勝打となる先制適時打を放ち、中日のエース・吉見を攻略した。切り込み隊長のひと振りで5カード連続の勝ち越し。貯金も「7」に増やした。後半戦開幕カードで激突する首位・巨人とは3・5ゲーム差のままだが、宿敵との対決に向け、大きな弾みをつけた。

 代役と呼ばれてきた男が勝利へと導いた。中日のエース・吉見の前に5回までわずか1安打に抑え込まれていた。それだけにベンチもワンチャンスに懸けた。6回1死二、三塁。カウント1ボールからの2球目。外角へのスライダーに飛びついた上本はスクイズに失敗しファウルとなった。だが、悔やんでいる暇はない。3球目のスライダー見逃し、4球目をフォーク見極め2―2。恐らく見逃せばボールとなったフォークだ。際どいウイニングショットを振り抜いた。打球は均衡を破る左前への先制適時打となった。

 「(吉見は)良かった。特にスライダーが。あの回しかないと思った。あれ(スクイズは)決めないといけなかった…」

 一発で決められなかったことに反省は残ったが、誰も責めることはなかった。和田監督は「あれを失敗と言われるとつらい」と擁護した。

 相手エースに与えた大きなダメージ。この一打が勝負の命運を分けた。

 「必死に食らいつくことだけを考えた。メッセンジャーが頑張ってくれていたので、先制することができて良かった」

 自身4試合連続安打で突破口を開いた。

 カード初戦では自身初の先頭打者本塁打を放つなど本塁打は目下5本。一発を秘める上に粘りのある打撃が際立っている。この夜も追い込まれながらの一打だった。「それ(追い込まれながらも打つ)は上本ならでは。それが今年の真骨頂」。指揮官も認める勝負強さだ。実際に今季は2ストライク以降の打率は・268。追い込まれながらも食らいついている証拠だ。

 「(昨季は)ケガをしてずっといなかったので、評価するところがない。(二塁手への)こだわりはありますが、試合に出ることが一番」

 シーズン前には出場への強い思いを口にしていた。ただ開幕戦はベンチスタート。心が折れそうになりながらも必死に耐えた。「神様に祈っていい事が起こるなら、何回でも祈りますよ」。今まで見えないものは一切信じなかった。しかし、昨オフは違った。過去2年間はケガ苦しんだ。そのため、おはらいだけじゃなく、先祖の墓にも足を運び手を合わせた。

 ようやく野球の神様も振り向いた。西岡が復帰した今も二塁の座を死守。もう代役とは呼ばせない。後半戦も上本が猛虎のリードオフマンとして勝利へとけん引する。

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