ダル 遅すごっ!全米驚いた90キロ超スローカーブ

[ 2014年7月17日 05:30 ]

オールスター戦に登板したダルビッシュ(AP)

第85回オールスター戦 ア・リーグ5―3ナ・リーグ 

(7月15日 ミネアポリス)
 超遅球で全米を魅了した。大リーグの第85回オールスター戦が15日(日本時間16日)行われ、レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(27)は3回から初登板し、1回を3者凡退。56マイル(約90キロ)のスローカーブも披露した。レッドソックス・上原浩治投手(39)は6回2死三塁から救援し、打者1人を空振り三振。日本投手2人が登板したのは初めてで、ア・リーグの勝利に貢献した。ア・リーグは通算成績を40勝43敗2分けとし、今年のワールドシリーズの本拠地開幕権を得た。

 4万1048人大観衆がどっと沸いた。3回1死、2人目の打者トロウィツキーへの4球目。ダルビッシュが投じた白球は、打者の肩口をかすめ、大きな山なりで捕手のミットに吸い込まれた。超スローカーブ。球速は56マイルと表示された。

 「持ち味の一つなので1球ぐらい投げたいと捕手に言っていた。ファンの方が喜ぶ球なので。ボールでしたが投げられて良かったです」

 スタンドから「もう1球」の掛け声も飛ぶ。両軍合わせた全268球中、最も遅い球でファンの心をつかんだ。

 5月22日のタイガース戦でも55マイル(約89キロ)のスローカーブを投じ、打者ハンターの笑いを誘った。両リーグトップの打率・345、リーグトップ21本塁打を誇るトロウィツキーも「予想していなかったよ。50何マイルだっけ?三振しなくて良かった」と目を丸くした。

 ただ、遅いだけではない。通常と同じ腕の振りにもかかわらず、球速が出ないから打者は戸惑う。球を抜くように投げ、それでいて、両サイドに制球するには高い技術が要求される。その超スローカーブは今季、1試合に1球ほど投げている。この試合の最速はキューバ出身チャプマンが投じた101マイル(約163キロ)。力と力の勝負が歓迎されるメジャーの最高峰の舞台で、剛腕たちにはない魅力が際立った。

 3―2の3回から登板。先頭プイグは内角ボールゾーンからストライクへ戻ってくる「フロントドア」と呼ばれるスライダーで見逃し三振。トロウィツキーは、「超遅球」を挟んだ後、スライダーで左飛に。最後は昨季本塁打、打点リーグ2冠のゴールドシュミットをこの日最速94マイル(約151キロ)の速球で二直と、3者凡退で終えた。

 デビュー年から3年連続選出は投手では史上4人目だが、1年目は延長要員で出番がなく、昨年は右僧帽筋の張りによる故障者リスト入りで辞退した。今年は、前日の記者会見で肘を痛める投手が相次ぐ現状に一石を投じるべく熱弁をふるい、マウンドでは、14球の中に緩急自在かつ変幻自在という引き出しの多さを披露した。「ジーターもそうだし、凄い選手が守ってくれた。変な感じでしたが、楽しかった」と充実の時間を過ごした。

 祭りが終わり、中2日で18日(日本時間19日)のブルージェイズ戦に先発する。メジャー最低勝率に沈むレ軍の後半戦開幕投手を務める。「また元気を出して、自分たちができるというところを見せていきたい」と結んだ。ファンを酔わせたこの夜のように、ダルビッシュならまだまだ全米を驚かせることができる。

続きを表示

この記事のフォト

2014年7月17日のニュース