桐光・松井 チェンジアップ5K 激戦区神奈川大会勝ち抜く進化

[ 2013年4月29日 06:00 ]

<横浜隼人・桐光学園>7回12K完投勝利の桐光学園・松井

春季高校野球神奈川大会準々決勝 桐光学園9―1横浜隼人

(4月28日 保土ケ谷)
 桐光学園・松井裕樹投手(3年)が28日、神奈川大会の準々決勝・横浜隼人戦で7回を6安打1失点、12奪三振の快投でコールド勝ち。昨夏甲子園ではスライダーを武器に、1試合22奪三振の大会記録を樹立したが、この日はチェンジアップで5奪三振をマークし、視察に訪れたプロ6球団の前で進化した姿を見せた。5月3日の準決勝は関東大会出場を懸けて日大藤沢と対戦する。

 これまでのイメージを変えた。105球目、最後もチェンジアップだ。7回コールド勝ち。松井は125キロで空振り三振に仕留めると、納得の表情を浮かべた。「精度が良くなっている。(チェンジアップを)磨いて上の打者にも使えるようになりたい。勝負どころでは三振を狙っていく」

 昨夏はスライダーで三振の山を築いた。甲子園で「チェンジアップは3球しか投げなかった」と告白する。ところが、この日は12三振中、5三振をチェンジアップで奪った。一級品の変化球があるのに、なぜ新球に取り組むのか。全国制覇を成し遂げるためだ。

 200校近くがひしめく激戦区・神奈川で、夏の大会を勝ち抜くことは簡単でない。野呂雅之監督から「昨年と同じことをやっていても抑えられない」と言われた。そこで冬の間に「苦しいカウントで直球を狙われても緩急をつけて打ち取れる」とチェンジアップに磨きをかけた。

 親指と人さし指でサークルの形をつくり、独学で習得した。140キロ台の直球と120キロ台のチェンジアップで奥行きを駆使すれば、打者を幻惑できる。スライダーに頼らずカウントも整えられる。巨人の山下哲治スカウト部長も「右打者に有効。投球の幅が広くなった」と評した。

 初回に5点の援護をもらい「楽に投げることができた」。6回の打席で右腕に死球を受けた。その裏の1死一、二塁のマウンドでは一塁へのゴロ(記録は右前打)を守備陣がはじき、今大会26イニング目にして初失点を喫したが「緊迫した場面でなかったので、ここで取られておいてよかった」と余裕だ。自己最速タイの147キロも計測。緩急を手に入れた怪物がまたひとつ進化を遂げた。
 
 ▼広島・苑田聡彦スカウト統括部長 下半身がしっかりしてバランスがいい。直球も変化球もフォームが同じなので、打者は打ちづらいと思う。

 ▼西武・鈴木葉留彦球団本部長兼編成部長 (1メートル74と)小さくても体が強い。腕の振りが一級品なのは間違いない。角度のある直球と変化球は工藤公康に似ている。

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