早出特打ち実った!村田「泣きそうな気持ちで」久々V打

[ 2012年8月19日 06:00 ]

<巨・広>ファンとハイタッチする巨人・村田(左端)

セ・リーグ 巨人4-0広島

(8月18日 東京D)
 巨人は18日、村田修一内野手(31)が0―0の8回1死一、三塁からフェンス直撃の中越え二塁打を放ち、広島を下した。村田は今季6度目の3安打をマーク。8月に入り、打率1割台と低迷し、打順も6番に降格するなどFA移籍後、最大の試練を味わっていたが、意地の一打を放った。これで貯金は今季最多タイの29。早ければ21日にもマジックナンバー32が点灯する。
【試合結果】

 笑顔はなかった。二塁ベース上。村田は両手を叩いて、右手でつくった握り拳を振り下ろした。8回1死一、三塁から決勝の中越え二塁打。ジリジリと続いた0―0の緊迫感と、自身のジレンマを打ち破る一打だった。

 「阿部さんはじめ先輩がつくったチャンスを1人でぶち壊すわけにはいかなかった。ここで打てなかったら、と泣きそうな気持ちで打席に入った。それくらいプレッシャーを自分にかけていた」

 笑えないほど追い込まれていた。昨オフに「優勝争いがしたい」とFA宣言して巨人に入団したが、マジック点灯目前の状況でチームの力になれなかった。ナゴヤドームでの2位中日との直接対決だった15、16日の中日戦を含め、最近7試合で5併殺打を喫していた。3試合連続無安打で迎えた17日は、4月22日のヤクルト戦(神宮)以来の6番に下げられた。

 迷いに迷っていた。17日から2日連続で今季「もちろん初めて」という早出特打を敢行。横浜時代のいつ以来か、思い出せないほどの特打をやるまでに焦っていた。それでも「きのうもやったけど、きょうも違う打ち方だった。そのくらい感じがよくなかった」と復調の兆しは見えなかった。だが、17日に阿部に言われた言葉で迷いを断ち切った。「ゲッツーの可能性がある場面でも、つなぐことを意識し過ぎるな。自分で決めるくらいの気持ちで打て」。球宴前に「シーズンではフルスイングしていない」と話したように、巨人入り後はつなぎを意識するあまり打撃が小さくなっていた。さらに8回は1点勝負にもかかわらず、広島が前進守備ではなく、併殺狙いの中間守備を敷いてきた。相手の術中にはまるわけにはいかない。「上に打つことを考えた」と強打した打球は、中堅フェンスを直撃した。

 6月9日の西武戦(東京ドーム)以来、51試合ぶりとなる決勝打で、今季最多タイの貯金29とした。「入ったと思ったけどフェンスの中間で残念だった」と言った時だけ少し頬はゆるんだ。猛打賞は6月29日の中日戦(東京ドーム)以来、今季6度目だが、それでもまだ、会心の笑顔はない。「他のチームに追いかけられることを経験したことがないので、試行錯誤しながらやっている。これから物凄い試合を経験できるはずだから」。勝つためにFAで選んだ巨人でやることは、まだたくさんある。

 ▼巨人・原監督 特打をしたり本人の中でもがいていい結果が出てよかった。彼にはキャリアがある。巨人1年目で重圧もかかっているでしょうが、(WBCで)世界一も経験している。きっかけになる一打になるでしょう。

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