イチ3番で初アーチ「打球の強さ」意識が結実

[ 2012年4月20日 06:00 ]

<マリナーズ・インディアンス>1回、右越えに今季1号ソロを放つマリナーズのイチロー

ア・リーグ マリナーズ4-1インディアンス

(4月18日 シアトル)
 最強の3番弾だ!マリナーズのイチロー外野手(38)が18日(日本時間19日)、インディアンス戦の初回に右越え1号ソロを放った。13試合、54打席目での今季1号は、3番打者としてのメジャー初アーチ。川崎宗則内野手(30)の本拠地セーフコ・フィールドでの初先発出場も祝う一発で、チームも4―1で快勝した。3試合連続打点のチームリーダーに引っ張られ、チームは貯金1とした。

 鋭く、そして力強かった。初回。イチローは1ボールからローの投じた143キロのシンカーを振り抜いた。打球は鋭いライナーのまま右翼スタンドへ。「3番最強説」もあるメジャーリーグ。その3番打者としての初アーチは、打順にふさわしい強烈な打球だった。

 「いやー、先に行かれたら、そりゃもう、行かんとしゃあないという気持ちになったわね」

 今季から自身に代わって1番を務めるフィギンズが、右中間へ先頭打者アーチ。昨季1本塁打と非力な男に先を越された。試合後、フィギンズは「イチローが“俺の方が飛んだぞ”って自慢してきたんだ」。飛距離はイチロー404フィート(約123メートル)に対し、フィギンズ395フィート(約120メートル)。3番打者の辛勝だった。「そういう話をつくるのが好きやな。アメリカ人っぽいよね」とイチローは笑った。

 冗談めかして振り返ったが、そこには主軸としての強い思いがのぞく。出塁を主眼とする1番と違い、3番・イチローは「打球の強さ」を求める意識が強い。それは右方向への打球増にも表れている。4、6回の中飛も右中間への強烈な当たり。エリク・ウェッジ監督も「とても強くボールを叩けている。バックスピンの利いた、いい打球を飛ばせるようになっている」と昨季からの確かな変化を感じ取っている。

 本人は打球方向の傾向に関し「それはお伝えできないですね」と話す一方で、理想の形へ「日々、そうなりたいと思っているし、それを重ねていくということ」と言った。強い打球を打てば投手の警戒感は強まり、外野手は前進守備を敷けない。安打ゾーンは広がる。イチローは春季キャンプ中に「僕が僕であることはもう変えられない。3番に入ったことで、本塁打が増えるはずもない」と話したが、自身の打撃の基本ラインは崩さず、打球を強く叩く確率を上げることは可能だろう。

 シーズン中に試行錯誤を続ける姿は例年と同様だ。新たな3番・イチロー像をいかにつくり上げるか。その結果は、2年連続地区最下位のチームの成績にも直結する。

 試合後は川崎と勝利のハイタッチを交わした。「ムネ(川崎)が初めてここで先発で、いい記念になった」。弟分の本拠地セーフコ・フィールドでの初先発も祝う一発。さまざまな意味が詰まった初アーチは、今季の日本人野手1号でもあった。

 ▼マリナーズ・川崎(本拠地で初先発。3打数無安打も、イチローの今季1号に)凄く勇気づけられた。緊張していたから。そういう時に打ってくれるんですよね。あれで楽になりました。

 ≪メジャー一発放った日本人3番は4人目≫イチローはメジャー12年目で3番として初の本塁打。これまで、日本選手で3番として最多本塁打は松井秀喜(アスレチックスからFA)の9本。以下、城島健司の3本、福留孝介(ホワイトソックス)の2本と続き、イチローは4人目の打者となった。井 口資仁、松井稼頭央、新庄剛志、田口壮の4 人は3番での出場はあるが、本塁打はなかった。

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