エースの意地!マー君調子悪くても雪辱の完投勝利

[ 2012年4月20日 06:00 ]

<ロ・楽>9回2死一、二塁塀内を左飛に打ち取り今季初完投で2勝目を挙げた田中は小さくガッツポーズ

パ・リーグ 楽天6-3ロッテ

(4月19日 QVC)
 楽天・田中将大投手(23)が19日、ロッテ戦で今季初完投勝利を挙げた。4回に2点の先制を許す苦しい展開ながら粘って最後まで119球を投げ抜いて今季2勝目を手にした。開幕戦で黒星を喫した相手に今季初の中5日で雪辱し、チームの連敗も3で止めた。悪いなりにも連敗中のチームに1勝をもたらす。これもまた、エースの姿だ。

 ハイタッチの際に浮かべた田中の苦笑いが、この日の内容を物語っていた。開幕戦で黒星を喫したロッテに雪辱は果たした。だが「完投したこと以外、何も良くなかった」と9安打3失点では心の底からは喜べなかった。

 3回まで直球主体に1安打無失点。落とし穴が待っていたのは4回だ。遊撃・松井の失策や左翼・中村の打球判断のミスもあり無死二、三塁。「野手のためにもそこは余計に抑えたかった」と田中はギアを上げた。だが、力みからフォームのバランスを崩して2失点。納得できるはずもなかった。

 心のギアを上げると制球が崩れる。過去3試合の登板でも見られた現象だ。全ては右肘の位置。今回登板に向けての投球練習では8割程度の力に抑えてフォーム確認に重点を置いてきたが、やはり試合ではピンチの際に右肘が下がった。チーム事情で今季初の中5日での登板ではあったが、開幕直前に右背筋を痛めて投げ込み不足でシーズンに突入したことが大きな原因のひとつ。星野監督も「苦労しとるなあ。でも苦労したらええ。あいつは完投するのが当たり前だと思っているからな」と評した。ただ、裏を返せば右肘の位置が安定すれば19勝だった昨季のように爆発的に白星を重ねられる。

 チームの連敗を3で止め、開幕3連敗を喫したロッテから5試合目での今季初勝利。「また負けて向こう(ロッテ)にいける、と思われたら嫌なので、やられたらやり返す」。その言葉を実践した田中は、結果としてエースの役割を果たした。それでも「全てがまだまだ足りない。全てを修正したい」と口を真一文字に結んだ。次戦こそ文句なしの快投を見せる。

続きを表示

2012年4月20日のニュース