プロ最少97球!マー君節電完投で11勝目

[ 2011年8月14日 06:00 ]

<楽・ロ>わずか97球で完投勝利の田中はファンの声援に帽子を振って応える

パ・リーグ 楽天4-1ロッテ

(8月13日 Kスタ宮城)
 この夏、マー君が進化した。楽天の田中将大投手(22)が13日のロッテ戦、プロ入り最少の97球で1失点完投。11勝目を挙げた。防御率も1・51で、8月6日以来のリーグ1位に返り咲いた。球数の少なさが、成長の証でもある。この日の三振は6。対して内野ゴロは13。力勝負も魅力だが、投球の幅を広げた右腕に限りない可能性が見える。

 わずか97球。100球以内で完投勝利を挙げた田中は驚きつつ、過去をたどりながら言った。

 「100球以内は自分の野球人生で初めてだと思う」。プロ5年目で初めてどころか駒大苫小牧時代もなかった経験。「でも湿度が高かったので疲れました」。そう続けて観衆を笑わせたが「エコ投球」には汚名返上の意味が込められた。

 前回7日の日本ハム戦(Kスタ宮城)では8回を投げ、自己ワーストタイの7失点。毎回の13三振を奪ったことが物語るように直球の威力は抜群だった。だが、その直球を稲葉、スケールズに一発を浴び「完全に力負け」と振り返った。力勝負が悪いわけではない。ただ、頼り過ぎた直球を狙われたのも事実。だから田中は猛省した。「自分の気持ちに整理をつけた」。力勝負を極力控え、嶋とのバッテリーで打ち取る最善策を練った。

 ロッテとは4度目の対戦。その相手は追い込まれる前の直球を狙っていた。その裏をかく。勝負球は宝刀スプリット。それは今まで通りだが、カウントを取る段階で直球を減らした。スプリットにスライダー、カーブ、そして「最近の中では多かった」というツーシーム。徹底して球を動かした。「直球は両サイドに見せ球に使っただけ」と嶋。直球狙いのロッテ打線に対し、変化球を多投して手を出させた。

 奪った三振は田中にしては少ない6個。内野ゴロは13個を数えた。相手を早打ちさせ、打たせて取る投球に徹した。もちろん直球も最速で151キロと球威抜群。付けいるスキを与えず、7失点の屈辱を肥やしにし「モヤモヤしたものがあったけど、それを払しょくするには結果を出すしかない。連敗を止めた後だし、きょうは本当に大事な試合だった」と振り返った。前日連敗を7で止めたチームは8月初めての連勝。星野監督は田中をねぎらいつつ「7連敗の後だし、欲を出していかないといかん」と大型連勝で上位浮上を狙っている。

 9回1失点で昨年に並ぶ11勝目。防御率は1・51と上昇し、トップだった日本ハム・武田勝がこの日6回4失点で1・54としたことで再びトップの座に返り咲いた。だが、満足はできない。武田勝はもちろん、兄貴分であり、ライバルの日本ハム・ダルビッシュが1・57ですぐ後ろに控えている。初のタイトルに向かい、田中はこの日の97球でまた成長した。

 ≪増える完投、減る球数≫田中(楽)が97球で1失点完投勝利。9回完投勝利では、今年4月15日オリックス戦の110球を下回る最少投球数となった。田中はプロ入り後完投数が年々増えているのに対し、シーズンの9イニング換算の投球数は07年の150球から今季は126球まで減少している。また駒大苫小牧時代の甲子園では、3度の9回完投のうち05年春1回戦戸畑戦の118球が最少。救援で12回2/3を投げた06年決勝の早実戦では165球を投げている。

 ≪入団5年連続規定投球回に到達≫田中は今季投球回を149回1/3とし、シーズン規定投球回(144回)に到達。ドラフト制以降、高卒1年目から5年以上連続の到達は15年の鈴木啓示(近鉄、66~80年)、13年の堀内恒夫(巨人、66~78年)、10年の江夏豊(阪神→南海67~76年)に次いで4人目。

続きを表示

2011年8月14日のニュース