作新学院　剛腕・北方悠討ちで江川超えの夏２勝　

＜唐津商・作新学院＞継投で唐津商を下しグラブタッチで喜ぶ飯野（左）と山下

第９３回全国高校野球選手権大会２回戦 作新学院３―２唐津商

（8月13日 甲子園）
　怪腕討ちで江川先輩を超えた。作新学院が春夏連覇を達成した６２年以来４９年ぶりの夏２勝だ。５回、指３本分バットを短く持って同点二塁打を放った石井は「作新の歴史に名前を刻めて良かった」と胸を張った。

　唐津商・北方悠の直球は１５０キロを超える。１回戦は１４安打１１点と大勝したが、対戦が決まった翌９日から、打撃投手を通常より３～４メートル手前から投げさせて対策を練ってきた。１日２時間の練習のうち１時間半はフリー打撃。小針崇宏監督は「スライダーも１４０キロ台で鋭いし対応が難しい」と直球狙いを指示し、全員にバットを短く持たせ、打席では最も捕手寄りに立たせた。怪物と呼ばれた江川卓氏（５６＝元巨人）を擁しながら２回戦で敗退した７３年夏は、相手の銚子商がバットを短く持ってきた。そんな過去を教訓にしたような攻撃で２点差を逆転し、偉大な先輩の無念を晴らした。

　決勝の遊撃強襲安打を放った板崎主将は、江川超えにも「優勝してから自慢したい」。派手さはなくても、粘り強い野球で新たな歴史を築いていく。

　▽６２年春の八幡商―作新学院　準々決勝で対戦。作新学院・八木沢と八幡商・駒井の投げ合いで０―０のまま大会初の延長１８回規定による引き分け再試合に（引き分け再試合としては８試合目）。翌日の再試合でも八木沢は５安打１３奪三振の快投で八幡商を２―０で下した。勢いに乗った作新学院は決勝で日大三を破り優勝。優勝旗が初めて利根川を渡った。作新学院は八木沢を赤痢で欠きながら夏も制し史上初の春夏連覇を達成。