三浦 統一球は追い風!「10勝以上の時のカットに戻ってきた」

[ 2011年2月19日 11:29 ]

フリー打撃に登板した三浦

 横浜・三浦大輔投手(37)は20年目の復活へのキーワードとして、カットボールを挙げた。通算138勝の大エースも、右肩痛に苦しんだ昨季は1軍定着後自己最低の3勝に終わった。どん底からはい上がろうとするエースが生命線と強調する、カットボールに隠された秘密に迫った。

 三浦は決め球を問われると「スローカーブと思われてるけど違う、カットやで」と、最大の武器である右手を見つめた。

 「俺の手はでかいよ。特徴と言えば特徴かな。ずっとこの手でやってきた。この手で変化球にこだわってきた。特にカットはね」。通常、スライダーより曲がり幅が小さいカットボールは直球とほぼ同じ握りから、リリースの瞬間に中指を外側に滑らせて「切る」ことで打者の手元でスライドさせる。直球だと思って手を出してきたバットの芯を外して、打ち取るのに有効な球となる。

 三浦の指がチーム投手陣で1、2を競うほど長いことはあまり知られていない。右中指は付け根から爪の先まで約10・5センチ。左腕・山本の左中指は約8・5センチ。2センチも差がある。三浦が「最後の一押しで中指を滑らす感じ」として投げるカットボールは、大きな手でわしづかみするのではなく、親指のつけ根から指1本空けて長い指で柔らかく球を包み込む。フォーシーム(直球)握りからほんの数ミリだけ右にずらして、指先に全神経を集中する。リリースの瞬間に滑らせる長い中指がより強いスピンを生み、打者の手元でより大きな変化が生まれるのだ。

 昨季は右肩痛でカットボールを生かす直球も思うように投げられず、何もできないままシーズンを終えた。故障も癒えた今キャンプは本来の直球とともに、カットボールの切れも戻った。さらに追い風となるのが変化球が曲がるとされる統一球の導入だ。19年間、三浦の球を受けてきた片平ブルペン捕手も「10勝以上していた時のカットに戻ってきた。手元まで直球の軌道できてキュッと曲がる。手は大輔の長所だし、統一球は有利」と太鼓判を押した。

 この日はフリー打撃で筒香、吉村相手に49球を投げ、安打性の当たり14本に封じた。「去年の悔しさもある。まだ俺は生き残る」。三浦には完全復活の道が見えている。

 ≪球団タイ記録の実働20年へ≫三浦(横)が今季1軍登板すると実働20年。実働年数の最長記録は工藤(西)の29年だが、横浜では石井琢と並ぶ球団タイ記録になる。また93年から昨年まで18年連続勝利を継続中。今季勝利を挙げると、平松の18年連続を更新する。三浦の長寿を支えているのが制球力の良さ。通算無四死球試合は14度と現役最多。また1試合平均(9イニング換算)の与四球率は2・49。チームで通算2500イニング以上の投手をみても秋山2・57、平松2・65となっており2・50未満は三浦だけ。

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