渡辺俊 得意の竜斬り!97球1失点完投

[ 2010年11月3日 06:00 ]

<ロ・中>勝利の瞬間、グラブを叩いて喜ぶ渡辺俊

 【ロッテ7-1中日】慣れ親しんだはずの海風が、これまで以上に心地よかった。先発の渡辺俊が9回5安打1失点。堂々の完投勝利だ。

 「点が入ろうと、打たれても、状態がいいので同じように投げていた。自分の投球ができた」

 勝負どころを知っていた。同点に追いついた直後の4回だ。無死一塁で和田を初球、119キロのシンカーで遊ゴロ併殺打。2試合で8打数5安打と絶好調の4番を抑え、続くブランコは空振り三振。「あそこを抑えれば流れが来ると思った」。5回以降も0行進。2戦目に12得点を奪い、勢いづく強竜打線を封じた。

 9月中旬。不調で2軍落ちした。故障以外でのファームはプロ10年目で初。どん底の中、再認識した。「1軍では試合前の何時何分にうどんを食べるとか決まっていた。すべて与えられていた。自分を見つめ直せた」。忘れていた初心。若手に交じり下半身を鍛えた。

 技術面でも原点を思い出した。本拠地特有の海風を利用するうち、本来の自分を見失っていた。「緩急が自分のスタイル」。2軍ではカーブを再調整。無風状態でもブレーキが利き、我慢比べに負けた打者が前のめりになるほどの切れを取り戻した。西武とのCSファーストSでは中継ぎで勝利に貢献。先発した10月17日のファイナルS第4戦では、ソフトバンク打線を9回途中まで2失点に抑えた。風のない2つのドーム球場で結果を残し自信も深めた。この日は自身の特性を最大限に生かせる本拠地の傾斜の低いマウンドで最速は121キロ。その一方で90キロ前後、最大スピード差33キロの「遅球」が生きた。

 球数は97球。打者31人に対し、3ボールは1度もなし。自信を持ってストライク先行の投球ができた証拠だ。日本シリーズで100球未満での9回完投は46年ぶり。西村監督も「きょうは凄く落ち着いていた」と褒めちぎった。本拠地での中日戦、無傷の5連勝男は「(次に)どこで投げるにしても準備しやすいですから」と省エネ投球を振り返った。次回は7日の第7戦(ナゴヤドーム)での先発が濃厚。出番が回ってきたとしても自信を持ってマウンドに立つ。

 ▼ロッテ・里崎(渡辺俊について)きょうは低めに投げさせることを意識した。相手を見ながら逆を突いて合わせられないようにした。押し引きはうまくできた。

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2010年11月3日のニュース