移転後初!ジャイアンツ56年ぶり世界一

[ 2010年11月3日 06:00 ]

優勝を喜ぶジャイアンツ選手たち

 ジャイアンツが56年ぶり6度目の世界一を決めた。ワールドシリーズは1日(日本時間2日)、アーリントンで第5戦を行い、ジ軍がレンジャーズを3―1で下した。先発のティム・リンスカム投手(26)が8回1失点でシリーズ2勝目。決勝弾のエドガー・レンテリア内野手(35)がMVPに輝いた。歴代最多の762本塁打を誇るバリー・ボンズ(46)が去って3年目。生え抜きの若手投手とベテラン野手の融合で、サンフランシスコ移転後初の栄冠となった。

 敵地アーリントンの夜空にジ軍ナインの雄叫びが響き渡り、歓喜の輪が広がった。若い投手と全盛期を過ぎたベテラン野手。その1人1人と抱擁した就任4年目のボウチー監督は「ハードにプレーした選手たちを誇りに思う。私は今、夢の中にいる」と56年ぶりの世界一に声を震わせた。
 2年連続サイ・ヤング賞のリンスカムが快投を演じた。8回3安打1失点で10奪三振。第1戦に続いてレ軍左腕リーとのエース対決を制した。チームの進撃を支えた投手陣を代表する存在。優勝トロフィーを掲げた26歳右腕は「最高だ。この瞬間を目指してやってきた」と喜びを爆発させた。
 「脱ボンズ」。それがチーム改革の合言葉だった。セービアンGMは「ボンズから離れる必要があった。投手力こそがチームの基盤。しかも自分たちのチームに愛着を持つ自前の投手が必要だった」と言う。若手を積極的にメジャー昇格させ、経験を積ませた。ワールドシリーズで先発した4投手はすべて生え抜き。この5試合で先発陣は防御率2・38と輝いた。
 一方の野手は、この日先発した中でポージー以外はすべて移籍組。しかしスター選手はおらず、指揮官は自ら「パッチワーク集団」と名付けた。他球団から放出された選手を有効に集め、適材適所で使った。決勝3ランを放ったレンテリアはジ軍で6球団目、打線の核となったハフは5球団目だ。ポストシーズン5本塁打のロスは今年8月にマーリンズを戦力外となった。若手投手&ベテラン野手の融合でつかんだ世界一。「誰も開幕前にはこの結果を予想しなかっただろう。全員が自分の役割を知っているのが強みなんだ」とボウチー監督は胸を張った。
 本塁打全盛の時代は終わり、投手優位の傾向が顕著になった大リーグ。ジ軍の頂点は、その象徴だった。
 ▽54年のジ軍世界一 当時はニューヨークのポロ・グラウンズが本拠地球場で相手はインディアンス。第1戦は2―2で迎えた8回無死一、二塁で、後に殿堂入りしたウィリー・メイズが超美技でチームを救った。中堅へ上がった大飛球に背走し、そのまま左肩越しに捕球。同球場の中堅は深く、落下地点は本塁から約135メートルの場所だった。大リーグ史上最高と評される「ザ・キャッチ」と呼ばれるプレーでピンチを脱したチームは、延長10回にローズの一発でサヨナラ勝ち。勢いに乗って4連勝した。

 ▼バリー・ボンズ氏(声明文を発表)サンフランシスコ以上に世界一に値する街はない。オーナーを含め全球団関係者におめでとうと言いたい。ボウチー監督を含め、選手が本当によく戦い抜いた。自分もプレーするのが夢だったチームが勝ち、本当にうれしく思う。
 ≪本拠地移転後初の制覇≫ジ軍は本拠地移転後、初のワールドシリーズ制覇となった。同シリーズ進出18度はドジャースと並びナ・リーグ最多タイ。世界一回数はニューヨーク時代の5度を含めて6度目で、こちらもド軍と並び歴代5位タイとなった(球団別最多はヤンキースで27度)。またジ軍は56年ぶりの世界一。ジ軍以上にワールドシリーズ制覇から遠ざかっている球団にはカブス(102年)、インディアンス(62年)がある。

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2010年11月3日のニュース