落合竜「思惑通り」のV!さあ今度は「完全優勝」だ

[ 2010年10月2日 06:00 ]

祝勝会で万歳する中日・落合監督

 オレ竜がセ界の頂点に立った。優勝マジックを1としていた中日は1日、試合がなかったものの2位・阪神が敗れたことで4年ぶり8度目のリーグ優勝が決まった。落合博満監督(56)にとっては就任7年目で3度目の優勝。「待機優勝」はセ・リーグでは87年の巨人以来23年ぶりの珍事だった。指揮官の意向で胴上げはなく、ナインは祝勝会のビールかけで喜びを爆発させた。2日、今季最終戦のヤクルト戦(ナゴヤドーム)の試合後、ファンの前で指揮官が宙に舞う。

 落合監督はその瞬間を、名古屋市内の自宅で見届けた。試合終了から22分後、信子夫人を伴ってグレーのスーツ姿でナゴヤドームに戻った指揮官の表情は穏やかだった。

 4年ぶりのV奪回。試合がない日の優勝決定はセ・リーグでは87年の王巨人以来23年ぶりの珍事。記者会見では「相手の結果待ちで、どうすることもできなかった。残り試合が少なく、勝ち続けないといけなかった。阪神、巨人との負け数をどう縮めていくか、どうプレッシャーをかけていくかを考えていた。ある程度、思惑通りに事は進んだ」と振り返った。

 球界に「オレ流」の新風を吹き込み、就任1年目でつかんだ04年とはひと味違った。圧倒的強さでぶっちぎった06年とも比べられない。一時首位に8ゲーム差をつけられながら後半に地力を発揮した。「積み上げてきた練習量の差。今年は暑い夏で、よそはへばってくるが(中日は)鍛え上げている。7年間チームづくりをした、その結果が9月にうまく出た」。9月に首位を奪い、阪神、巨人との三つ巴の死闘を制しての逆転V。セ最強を誇る投手力で挑戦者の立場から上り詰めた。

 就任7年目のシーズン前、初めて「優勝宣言」を封印したのは3年連続V逸の悔しさからだった。「もう選手たちはその両方を知っている。だから、あえて言わない」。練習量では他の追随を許さない春季キャンプでも選手の自主性を重視し強制的な早出、居残りを廃止。「やりたいやつだけやればいい」と突き放した。これまでよりワンランク上の大人の軍団をつくり上げるためだった。

 いつも無表情に見えるが実は違う。ここぞの場面で指示を送る時の勝負師の顔。2度あった退場の場面で審判に詰め寄った鬼の形相。試合後に若手の居残り練習に付き合う息子を教える父親のような顔。初めて三冠王をとった28歳の時のこと。記念のブロンズ像をつくる際、彫刻家の桑原巨守氏(故人)に依頼したところ「君の顔は少年のようにもなるし、老熟した男のようにも見える。とても深みのある顔をしている」と評された。この日の祝勝会での無邪気にさえ映る笑顔もまた、人間・落合博満の一面。不必要なポーズを取らず、これまで以上に自然体で戦ったシーズンでもあった。

 「胴上げ?あしたナゴヤドームに詰め掛けてくれるファンの前で、勝ち負けに関係なくする」と誓った。だが、まだ終わりではない。CSを突破して日本シリーズへ。3年ぶりの日本一奪回を成し遂げた時、落合監督が掲げてきた「完全優勝」が実現する。

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2010年10月2日のニュース