住生活G 横浜買収「前向きに検討」

[ 2010年10月2日 06:00 ]

 横浜ベイスターズの買収に乗り出したことが分かった住宅設備大手の「住生活グループ」は1日、横浜の親会社、TBSホールディングスとの買収交渉の事実を認めた。同社幹部が明らかにしたもので、TBSが国内企業3社に持ちかけていた球団売却の交渉は同社に一本化。今後は球団株式の売却価格など条件面を煮詰め、11月18日のオーナー会議までの決着を目指すことになった。

 TBSが金融機関を通じて球団売却を打診していたのは「住生活グループ」と、食品大手「日清食品ホールディングス」、IT企業「フェイス」の3社だった。その中で球団買収の交渉が表面化したことを受けてこの日、住生活グループ幹部は「前向きに検討したい」と話し、買収交渉の事実を認めた。今後、交渉はTBSグループが保有している69・23%の球団株式の売却価格を煮詰めていく方向で、同社の木寺康広広報室長は「これだけのニュースになっているので、来週早い段階でお話しできるようにしたいと思います」とした。

 トステムやINAXを傘下に持つ同社は、業界最大手の持ち株会社。トステムはサッカーJリーグ、鹿島アントラーズのスポンサーで、スポーツ協賛に熱心な企業として知られている。これまでグループとしての知名度はもうひとつ低く、今年1月からはグループの新ブランド「LIXIL(リクシル)」を展開。プロ野球球団を保有することで、このブランド価値を高めていく狙いもあるとみられ、球団買収交渉が成立した場合「LIXIL」を球団名として採用する可能性もある。

 02年1月にTBSグループが横浜球団を買収した際、70万株を約140億円で取得。当時の報告書では球団の企業価値は約50億円だったが、広告宣伝効果や首都圏セ・リーグ球団オーナーとしてのメリットなどを約90億円と算定していた。ところが、横浜主催の巨人戦の視聴率が落ち込み、スポンサー離れが進むなどの誤算から球団経営は悪化。球団売却へ動く要因となった。交渉について横浜の若林貴世志オーナーは「いい関係でやっていくことができるところがあれば。相手先のあることなので」と暗に交渉の事実を認め、今後は住生活グループにとっての投資効果などを見定めて球団株式の売却価格を決めていく。また、横浜スタジアムとの球場使用権契約が球団経営を圧迫していたことから浮上した新潟の準本拠地化にも「新潟開催には力を入れてきたから」と続けた。

 野球協約では、球団の譲渡は参入前年の11月30日までに実行委員会、オーナー会議での承認が必要とされる。若林オーナーは来週中にも加藤良三コミッショナーへ報告に出向く考えを示した。今月中旬にも交渉が成立する可能性もあり、11・18オーナー会議前の決着へ加速することになった。

 ▽球団譲渡の手続き 野球協約第31条により、新規参入者は参加するシーズン前年の11月30日までに実行委員会、オーナー会議の承認を得なければいけない。ただし、特別の事情がある場合は実行委はこの期限を延長できる。譲渡が承認された場合、新球団は預かり保証金25億円(10年の球団保有で返還)をはじめ、野球振興協力金4億円、加入手数料1億円の計30億円を、日本野球機構に納めてリーグ入りする。

続きを表示

2010年10月2日のニュース