阿部が逆転弾!原監督、完ぺき「4冠」締め!!

[ 2009年11月15日 06:00 ]

ファンの声援に手を振り応える原監督

 原巨人がアジア王者に輝いた。日韓クラブチャンピオンシップが14日、行われ、日本シリーズ覇者の巨人は2点を追う7回に阿部慎之助捕手(30)の逆転3ランなどで一挙に7点を奪い、9―4で韓国シリーズ覇者のKIAに逆転勝ち。優勝賞金2000万円を獲得した。WBC連覇から始まった2009年。原辰徳監督(51)は世界一、セ界一、日本一に続く「4冠」を達成した。

 胴上げはなかった。アジアの頂点に立った原監督は、いつも通りにハイタッチでナインを出迎えた。肌寒い夕刻、長崎のファンから温かい声援を受けながら、お立ち台に上がった。
 「勝てたということにホッとしています。私の力は微々たるもの。素晴らしい選手、チーム、ファンに恵まれて感謝しています」
 今季最後の一戦は、5回までに3点をリードされる苦しい展開だった。小笠原のソロで反撃を開始し、7回に本領を発揮した。無死一、二塁。阿部が、内角のボール球を右翼席に運び、試合をひっくり返した。この回打者12人で一挙に7得点。指揮官は「我慢して我慢しての7回だった。今年を象徴していた。最後の試合で出たのは良かった」と満足そうに言った。
 3月のWBCから164試合。世界一、セ・リーグ3連覇、日本一に続く、4冠を達成した。原監督は長い1年を振り返り、しみじみと語った。

 ▼原監督 私を含め阿部、小笠原、山口、内海、亀井、コーチの篠塚、緒方。(WBCメンバーの)この8人は世界中で誰よりも真剣に長く野球をやった。自分を含め“ご苦労さん”と言いたい。

 阿部の思いも同じだった。春先は昨年10月に痛めた右肩が万全ではなかったが、最後まで戦い抜いた。「WBCに選んでいただいて、自分の中の踏ん切りがついた。監督に感謝しています。最後はいい形で終われた」。昨年までのアジアシリーズで日本の球団はすべて優勝。日韓王者同士の1試合に形を変えたが、日本代表としても負けられない一戦だった。主将は日本シリーズMVPに続き、最後も決勝打を放ちチームを引っ張った。
 阿部はWBCでは城島の控え捕手だった。主役にも脇役にもなれる。だから原監督は阿部に日の丸を背負わせた。日本ラウンドで宿敵・韓国を偵察した際に、こんな気遣いを見せていた。ナインが東京ドームのスタンドで観戦する中、自らネット裏の球団ブースに正捕手を招いた。「グラウンドレベルで見た方がいろいろ分かると思いますから。キャッチャーはここで見ましょう」。北京五輪で感じた韓国のデータもすべてチームに還元した。縁の下から原監督を支え、最後は先頭に立って原監督を男にした。
 09年、取れるタイトルを軒並み手にした原監督は来季に目を向けた。「当然、チームは進化していく。2010年度は期待していてください!」。長崎のファンに、全国のファンに力強く宣言し、長い1年を締めくくった。

 <原監督4冠への道>
 ◆世界一 第2回WBCの決勝は3月23日(日本時間24日)に米ロサンゼルスで行われ、原監督率いる侍ジャパンは延長10回、イチローの決勝中前打で韓国に5―3で勝利。第1回大会から連覇を飾った。
 ◆セ界一 9月23日。優勝マジック1としていた巨人は東京ドームで2位中日を5―3で下し、3年連続33度目の優勝を飾った。セ・リーグの3連覇は、65年から73年に巨人のV9以来。4月11日に単独首位に立つと、最終的に2位中日に12ゲーム差をつける独走だった。
 ◆日本一 11月7日。札幌ドームで行われた日本シリーズ第6戦で、3勝2敗と王手をかけていた巨人は2―0でパの覇者・日本ハムを下し、7年ぶりの日本一を達成。2回に決勝打を放った阿部がMVP。原監督は「感無量。奪回しました」。

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2009年11月15日のニュース