エースの目覚め 涌井が「18」で“初勝利”

[ 2009年4月4日 06:00 ]

<ロ・西>新背番号18を背負い力投する西武先発・涌井秀章

 【西武5―2ロッテ】帰り際のバスへ向かう通路。西武・涌井はため息をつきながら「むちゃくちゃ疲れた」とつぶやいた。重圧がかかる開幕戦。チームの勝利、という仕事を果たしたエースはようやく肩の荷を下ろした。

 「勝ってよかったです。でも自分の力で勝ったわけじゃないんで。細川さんとボカチカに感謝です」
 初回から飛ばした。140キロ台後半を連発したが3回2死一、二塁、井口に3球ファウルで粘られた後の8球目。真ん中スライダーを左中間に運ばれて天を仰いだ。「どこに投げてもファウルだったんで、打ち損じを狙って(ストライクゾーンに)投げたんですけど」。変化球の微妙な制球にも苦しんだ。5回まで費やした球数は110球。それでも続投を志願。味方が逆転した直後の6回をしっかり抑えて2失点で降板した。
 2月のWBC代表合宿中だった。ゲームの話ばかりしていた涌井は松坂に「チームの雰囲気を考えろ」と初めて怒られた。しかし、決勝の韓国戦の9回、同点とされて心配した松坂がブルペンに姿を現すや「ここから行きますよ。僕たちが盛り上げないと」と声を掛けた。松坂に「1カ月で変わったな」と言わしめた。自身は慣れない中継ぎで3試合に登板して1勝0敗。仲間を信頼することの尊さをしっかり学んで帰ってきた。
 27年ぶり敵地開幕を制した渡辺監督は「本当に粘り強く投げてくれた」と涌井を評価した。ビジター用の新ユニホーム。松坂(レッドソックス)から受け継いだ背番号18を背負って昨季開幕戦黒星のリベンジも果たした。「これで去年みたいに乗っていけたら…」。連覇へ。エースが最高のスタートを演出して見せた。

 ≪ロッテ 井口4番の重責きっちり果たした≫5年ぶりに迎えた国内での開幕戦を白星で飾ることはできなかった。それでもロッテ・井口は4番としての仕事は果たした。3回に先制の左中間2点二塁打。初回と7回は四球を選び「できれば勝ちたかったけど、144試合の1つ。あした勝って勝率5割にしたい」と冷静に話した。球団40周年の節目の年に新加入した背番号6。初対戦となる投手が多いため、ビデオ研究に加えてオープン戦から打ちたい気持ちを抑えてじっくり球を見極めてきた。この試合も第1打席は1度もバットを振ることなく四球。先制二塁打もフルカウントからファウルで粘った8球目を叩いた。「いろいろ球を見て粘れたので、うまくタイミングを合わせられた」。頼れるニューリーダーはすぐに気持ちを切り替えた。

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2009年4月4日のニュース