55番伝説再び…大田、ゴジラ超え6発!

[ 2009年2月2日 06:00 ]

フリー打撃で6本の柵越えを披露した大田泰示

 背番号55が宮崎に帰ってきた。巨人の春季キャンプが1日、宮崎でスタート。ドラフト1位・大田泰示内野手(18)はフリー打撃で6本のサク越えを披露。「55」の大先輩、ヤンキース・松井秀喜外野手(34)が1年目のキャンプ初日に放ったサク越え4本を上回った。原辰徳監督(50)が見守る前で果たした、いきなりの“ゴジラ超え”。高校通算65発の黄金ルーキーがプロの第一歩をしっかりと踏み出した。

 日も沈みかけた午後5時30分。ティー打撃でこの日515スイング目を終えた大田は、キャンプ初日を初々しく振り返った。「凄く緊張した中でやって、気疲れしたというのが率直な意見です。今までテレビで見ていた選手と練習をして、あっという間の1日でした」
 松井が巨人を去った02年以来、7年ぶりに宮崎へ戻ってきた背番号55。早朝散歩からもみくちゃにされるなど一挙手一投足にファンの視線が注がれた。そして誰もが待ち望んでいた初フリー打撃。ひむかスタジアムに原監督もサンマリン球場から駆けつけた。93年にルーキー松井が初フリーで4発放り込んだのと同じ場所(当時は宮崎市営球場)で注目の初球。平松打撃投手の低めの球を悠然と見送った。そして2球目。外角高めの球を芯でとらえると鋭い打球が中前で弾み、大田が納得の表情を見せた。
 21スイング目で右越えにプロ初サク越え。26スイング目でバックスクリーン左へ圧巻の130メートル弾を放ち、見守った観客から感嘆のため息が漏れ拍手も起こった。「スイングを強くしたい。ヘッドも抜けやすいから」とフリー打撃は重さ1100グラムのマスコットバットで臨んだ。その後もカーブマシン相手に4本のサク越え。計51スイングで6発。“ゴジラ超え”にも大田は「遠くに飛ばすことはプロなら誰でもできる。プロの指導者は本数よりも(スイングの)形とか意識の濃さを見ている」と平然と言った。
 新人合同自主トレで筋力の数値はすべてが平均値だった。見守ったトレーニングコーチは「体幹の強さも普通だと思う」と語ったほど。並の筋力で放った130メートル弾。力ではない。高めの球に両腕が素直に出せる天性のうまさがある。ルーキー時代の松井と同様、角度がつく打球を放つコツを習得していた大田に原監督は「プロ野球界を背負っていける素材であり、素質を持って入ってきたのは断言できる」と大きな期待を口にした。
 課題も見つかった。三塁の守備練習では勝呂2軍内野守備走塁コーチのノックで足はガクガク。「守りはまだまだ。足さばきを速く、重心も低くしないと…」と夕食を早々にかき込み、夜間練習では守備の基本動作を繰り返した。キャンプ初日を終えた大田は「松井さんは尊敬してるけど自分の55にしたい」と言った。目標は大先輩も果たせなかった開幕1軍。大田の挑戦は始まったばかりだ。

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2009年2月2日のニュース