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【コラム】海外通信員

ボカに何が起こっているのか

[ 2016年3月27日 05:30 ]

ボカのギジェルモ・バロスケロット監督(右)と双子でアシスタントコーチのグスタボ・バロスケロット
Photo By AP

 ボカがおかしい。カルロス・テベス加入後、選手層は厚くなり、戦力はアップしているはずなのだが、結果が付いてこない。リーグ戦開幕前の夏の大会でも、ライバルのリーベルには勝てず、リーグ戦でも現在、Bグループ16チーム中8試合で3勝2分け3敗と低迷している。特にテベスにキレ、決定力がない。ユベントスからボカに復帰した直後の勢いがないのだ。ケガの影響もあるようだが、それだけとは思えない。チーム内の不仲説も噂される中で、監督のアルアバレナ(元ボカDF)はシーズン途中で解雇されてしまった。

 後任はチームメートだったギジェルモ・バロスケロット。97~07年にボカのFWとして大活躍した選手だ。ブエノスアイレスから60キロ離れたラプラタ市出身で、同市のヒムナシアで双子の弟グスターボとプレーをしていた。激しいプレーでファンも多く、AFA(アルゼンチンサッカー協会)100周年杯で優勝。94年2月にスポニチが主催したSANWABANKCUPで、Jリーグ初代王者のヴェルディ川崎と対戦、2-2の同点だったが、PK戦の末に2-4で敗れた。

 1997年に、当時ボカでプレーしていたマラドーナのラブコールでボカに移籍。在籍10年間でリーグ優勝6回、リベルタドーレス杯(南米クラブ選手権)優勝4回、トヨタカップ優勝2回など輝かしい記録を残し、ボカの黄金時代を築き上げた選手だ。監督経験はまだ4年と浅いが、弟グスターボとともにアルゼンチン1部のラヌースを3年半指揮し、ビッグチームではない同チームを南米スタメリカーナ杯(スルガバンクカップの出場権が得られる)で優勝させるなど、手腕を発揮していた。

 ボカ就任会見では「ラヌースでの監督経験、関係者の助けがなかったら、今我々がここにいることはなかった。ラヌース関係者にはとても感謝している。ゼロからスタートしていく。短期間でできる限りレベルを上げたい、ボカの監督になるという責任感、意味は十分すぎるほど理解している」と、抱負を語った。さらに「サッカー以外の部分でも何か問題があることは確かだ。それを見つけながらチームを作り上げたい」と続けた。

 監督就任2試合目はリーベルとのスーパークラシック戦だったが、0-0の引き分け。「ボカに問題がなかったら監督も変わらなかったはずだ」と言うようにまだまだ問題は山積みだ。

 そしてラヌース関係者、ファンからも大歓迎された対ラヌース戦では0-2で敗れた。短期間でチームを変えることはとても難しい。常に勝つことを要求され、厳しい環境下に置かれるボカではかなりの重圧もある。そんな中ギジェルモは何をするのか。ボカを知り尽くした男に掛かる期待は大きい。(大野賢司=ブエノスアイレス通信員)

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