×

【コラム】海外通信員

宮市亮、2部リーグで活躍 トゥエンテ2軍チーム

[ 2015年4月4日 05:30 ]

アジア杯予備登録選手として発表された宮市
Photo By 共同

 宮市亮は今季、アーセナルからオランダの1部リーグ、FCトゥエンテにレンタル移籍している。3月23日、FCトゥエンテは、公式サイト上で、今年の6月30日で契約が切れてクラブを離れる選手を発表した。オルランド・エンへラールら7人の中には、宮市の名前もあった。宮市は、トゥエンテとの1年間のレンタル期間を満了して、この夏にはアーセナルに戻ることになる。

 宮市は昨夏にトゥエンテに加入して以降、当初は出番を得ていた。だが、徐々に出番を減らし、年末を迎える頃にはベンチからも外れるようになっていた。

 これまでトゥエンテのトップチームでの出場機会は8試合。得点およびアシストはない。出番を失った宮市は、ヤング・FCトゥエンテ、つまりトゥエンテの2軍チームの試合へ回った。普段の練習はトップチーム。だが、週末には2軍チームの試合に出場する。そういう状況が続いている。

 ヤング・FCトゥエンテが所属しているリーグは、オランダリーグ2部。日本で言えばJ2に当たるリーグだ。上位クラブに所属しているが、出場機会がない若手選手に真剣勝負の場を与えるために、オランダでは、一部の上位クラブのヤングチームが2部リーグに参加している。アヤックス、PSV、そしてトゥエンテだ。宮市にとって、トゥエンテのヤングチームが2部リーグに参加していたのは、幸運だった。たとえトップチームで出場できなくても、かつて本田圭佑もプレーしたオランダ2部でプレー機会を得ることができるのだ。3月末の時点で、宮市はヤング・FCトゥエンテで11試合に出場。2得点を挙げている。トゥエンテ側も、宮市自身も一番欠けているのはプレー時間だということは分かっている。だがら、ヤングチームで出場した時には90分フル出場が多い。ヤングチームでコツコツとプレー時間を積み重ねる中で、宮市のプレー内容は明らかに向上してきている。

 3月6日、トゥエンテのトップチームはヴィレム2とのアウェーゲームを戦った。宮市は久しぶりにベンチ入り。後半アップしていたが、結局出場機会はなかった。

 「今は2軍でチャンスをもらえているので。しっかりとそこを生かしていきたいです。残り少なくなっちゃいましたけど、なんとか自分のやれることをしっかりやるだけです」。

 試合後に、久しぶりのトップチームベンチ入りでしたね、と声を掛けると、宮市はそんなふうに言っていた。トップチームのベンチに入るのも良いが、一方でベンチに座っているだけならば、ヤングチームの試合に出場してどんどんプレーした方が本人にとっては良いかもしれない。

 「試合勘というのも戻ってきました。ケガをして、これでちょうど1年になります。昨年の3月にケガをしたので。それから本当に長かったなと思います。自分の体もしっかり戻ってきました。サッカー人生はまだまだ続くので、この期間というのをしっかりと大事にして、この期間に頑張り続けることが、今後に繋がっていくのかなと思います。(2軍で)出場機会をもらえていることは、ありがたいことだと思います」。

 2軍でプレーする中で、宮市は2点を決めている。プレーは同じような形。左サイドから、相対するDFを振り切り、左から中へと持ち出しながら右足で決めた強烈なゴールだった。サイドからドリブルで仕掛ける宮市らしいプレーはコンスタントに出せるようになっている。

 「あの形というのも、コーチ陣からすごい練習しろって言われているんです。そういう形がしっかり出たかなという感じですね」

 また、宮市がコンスタントにヤングチームでプレーするようになった年明け以降、ヤングチーム自体、調子が上がり、勝ちゲームが多くなっている。宮市だけでなく、ヤングチームでプレーする他の若手選手たちもタレント性を発揮するようなった。

 「(ヤングチームでは)すごく楽しくやれています。チームとして、一緒にやる選手が継続して出ているというのもあるので。今は僕自身も、そっちの方が自分のチームだなって。正直、すごくやっていて楽しいですしね」

 この日、対戦した相手チーム、ヴィレム2には、カブラルという選手がいた。この日はトゥエンテ相手に2得点決めていた。このカブラルは、かつてフェイエノールトにいた選手。左ウイングとして、宮市の完全なるライバルだった選手だ。カブラルもまた将来を嘱望された選手だったが、フェイエノールトからトゥエンテに移籍。さらに格下のヴィレム2へと所属クラブを移している。かつてのライバルもまた、クラブを点々としながら、キャリアを積み上げていた。

 「カブラルに限ったことではなくて、やっぱりチームにいればライバルというのも出てきます。しっかりと良い刺激はもらいましたし、もがきながらでもやり続けることが大事だと思います。そういった意味でも、今、すごく良い期間を過ごすことができているなと、改めて思いました」(堀秀年=ロッテルダム通信員)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る