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【コラム】海外通信員

米国“死の組”突破なるか

[ 2013年12月27日 05:30 ]

米国代表クリンスマン監督
Photo By AP

 6日に行われた来年のワールドカップ組み合わせ抽選会の直後、アメリカのサッカー・メディアやファンの間ではショックが広がった。いわゆる”死の組”に入ってしまった、と感じた人が多かったからだ。

 無理もない。アメリカが入ったグループGにはFIFAランキング2位のドイツ、5位のポルトガル、さらには24位のガーナがいる。アメリカは14位だ。

 ドイツ、ポルトガルはともかくガーナよりは上では、と思われるかもしれないが、アメリカ国内ではアメリカが最も不利、という意見が多い。アメリカは過去2大会連続でガーナと対戦し、いずれも1―2で負けており、苦手意識がある。

 しかも、アメリカ代表は北中米カリブ海最終予選を7勝1分け2敗のトップ通過を果たしたものの世代交代が遅れており、実力レベルは低下傾向にあるという評価が定着している。こうした理由で自国内ですら厳しい目が向けられている。実際代表MFカイル・ベッカーマンは「一番タフだと思う」と正直にコメントした。

 だが、「1次リーグ突破は可能」という楽観論もある。

 まず6月14日に行われる初戦の相手ガーナだが、たしかに過去2度W杯で敗れてはいるが現在のチーム力は最終予選で勝利したコスタリカやメキシコ並みというのだ。初戦に勝ち点3を挙げることは十分可能だというのだ。

 そして第2戦のポルトガルは対戦会場がカギを握る。赤道に近く大西洋から数千キロ離れた内陸部で、治安の良くないマナウスだからだ。高温多湿で、ストレスがたまる場所でのゲームはスタミナや精神力が重要になる。ヨーロッパの恵まれた環境で予選を戦ってきたポルトガルより、治安やスタジアムの整備に問題を抱える中米で戦ってきたアメリカの方がタフネスで勝るのではと見られている。

 また、クリスチアード・ロナウドという飛び抜けた選手と対戦することについてもDFブラッド・エバンスは「最高の選手と対戦したいものだろう。明らかに彼は最高だ。対戦できるなら絶対すごいチャレンジになるし、素晴らしい機会だ」と臆していないのも心強い。

 第3戦のドイツだが、実はアメリカは夏に対戦し、4―3で勝っている。この時のドイツは実質Bチームだったが、1次リーグ第3戦は、両チームが第2戦までにしっかりと勝ち点を積み重ねておけば、真剣勝負を避けられるかもしれない。多分に楽観的な見方ではあるが、アメリカは日程面では多少なりとも希望が見える。なんとか死の組を脱して、トーナメント進出を果たしてもらいたいのだ。(渡辺史敏=ニューヨーク通信員)

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