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【コラム】海外通信員

EL予備予選2回戦でスタート 高木善朗 オランダ3シーズン目

[ 2013年7月5日 06:00 ]

オランダでの3シーズン目が始まったユトレヒトのMF高木善朗
Photo By AP

 高木善朗のオランダ3シーズン目が始まった。

 FCユトレヒトが新シーズンに向けたフィールドトレーニングをスタートさせたのが、6月26日。6月29日、7月2日と、ユトレヒト近郊において、各地元のアマチュア選抜との練習試合も行われた。高木は、精力的にトレーニングに励んでいる。

 6月29日のユトレヒトの東にあるズーステンベルグという町で行われた地元アマチュア選抜との試合では、ユトレヒトのバウタース監督は前後半で選手を入れ替えた。どちらがスタメン組ということもない組み分けだったが、高木は前半に出場。試合は、前半1―1,後半2―0。3―1という結果に終わっている。

 7月2日の練習試合は、ユトレヒトの西、フルーテンという町で行われた。この試合では、スタメン組と思われるメンバーが先発し、58分までプレー。その後、7人の大幅な選手交代があり、サブ組が出場した。

 この試合で高木は先発出場。昨シーズンからバウタース監督が採用している中盤ひし形4-4-2の左MFに入ってプレーした。ちなみにスタメンは、2トップにファンデルフンとデュプラン。トップ下にパポット。左MFに高木、右MFにスヘッペルス。守備的MFにディーメルス。4バックが右からファンデルマーレル、ライクス、へーリングス、ブルトハウス。GKにラウター。

 高木の調子は良さそうだった。ユトレヒトは開始早々にスヘッペルスのゴールで先制。すぐに高木が続く。高木がペナルティーエリアの外からミドルを決めて、2―0となった。CKなどセットプレーはすべて高木が担当。右CKからニアにボールを送って、ディプランのゴールをアシスト。またワンタッチでペナルティーエリア内に走りこむデュプランに浮き球のボールを送り込んで、ゴールをアシストする場面もあった。前半だけで8―0となった試合で、高木は好プレーを見せていた。

 右MFに入っていた高木は、少し低い位置まで幅広く動きながらワンボランチのディーメルスを攻守にサポート。適切に顔を出してビルドアップで重要な役割を演じていた。バックラインやボランチの守備陣と2トップやトップ下ら前線の間をうまくつないでいく。特に2トップがサイドや裏のスペースへと飛び出すのを見逃さず、スペースへと間髪入れずにフィードボールを送り込むパスが冴えていた。オランダ3シーズン目を迎える高木は、順調に見えた。

 「順調、ですかね」と高木。「でも、まだ戻ってきていない選手もいるので、わからないですけどね」

 高木の言うとおりではある。この夏に各国代表としての活動があった選手たちは、長いバカンスが与えられている。オランダ代表に招集されていたMFトールンストラはすでに合流しているが、この試合ではコンディションを考慮されて後半途中からの出場だった。オランダの年代別代表に収集されていたMFアヨウブ、CBファンデルホールンも同様だ。そして、オーストラリア人のズロとオアル。MFオアルは、先日のワールドカップ予選、1―1で終えた日本対オーストラリアでゴールスコアラーとなったあのオアルのことだ。彼もまた、まだ合流していない。ドリブラーであるオアルのポジションは、オーストラリア代表でも同様の左MF。タイプは違うが、ポジションを争うライバルではあるのだ。高木は左右を問わずプレー可能であり、2トップの一角としても、トップ下としてもプレーできる。実際、昨シーズンまで、サテライトチームではFWとして起用されたこともあったと本人も言っていた。

 7月2日の練習試合でスタメン組として出場した高木。だが、オランダ代表のトールンストラ、オーストラリア代表のオアルといった選手たちもまた、今後、ポジションを争っていく相手になるのだ。

 オランダでの2年間、高木にとって必ずしも満足行くものではなかっただろう。昨シーズンの終盤には、練習中に左手首を骨折し、戦列を離れるというアクシデントもあった。昨シーズンの高木は7試合出場に留まっている。それでも、この2年間、練習やサテライトチームでの試合を積み重ねて、高木はオランダのサッカーに完璧に適応した姿を見せている。

 「(トップチームの試合に)出ないながらも、やることはやってきました」。

 試合後、たくさんのファンに囲まれてサインや写真撮影に笑顔で応じながら語っていた高木からは、この2年間で培った自信が感じられた。

 「今季はそれをプレーで、ピッチで発揮していきたいと思います」。

 ユトレヒトは、7月18日のヨーロッパリーグ予備選2回戦から今季がスタートする。18日がアウェー、25日がホームゲームだ。また、リーグ戦の第1節は8月4日。ホームにゴー・アヘッド・イーグルスを迎える。(堀秀年=ロッテルダム通信員)

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