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【コラム】海外通信員

メッシはアルゼンチン人だ!

[ 2012年9月24日 06:00 ]

2012年はアルゼンチン代表でも結果を残しているバルセロナのFWメッシ
Photo By AP

 「メッシはほんとうにアルゼンチン人か?」と叩かれることがある。

 メッシはなぜ試合前にアルゼンチン国歌を歌わないのか、バルセロナでは点を取るのにアルゼンチン代表では点が取れない。12歳でバルセロナに渡ったため、アルゼンチン魂がなくなったのか…。アルゼンチン代表で結果を出していないことからマスコミや国民からいろいろ言われていた。

 叩かれるのはマラド―ナと比較されるからだ。マラドーナがW杯で優勝した86年メキシコ大会からすでに26年、今25歳のメッシが生まれる前だ。マラドーナは国民を動かすカリスマ性に加えて、サッカーの才能、そしてW杯優勝の活躍がある。しかし、メッシはW杯優勝もなく、性格的にはマラドーナとは逆におとなしくつつましやかで、誤解されやすい。アルゼンチン人は26年前のW杯優勝の夢再現を待ち続けているし、ヨーロッパに多くの選手を送りだすサッカー大国のプライドもある。政情不安、経済危機にみまわれている南米だが、サッカーだけは世界のトップレベルにあると信じている。

 先日、14年W杯ブラジル大会予選が行われた。9月7日の第7戦はコルドバ市でパラグアイと対戦し、3-1で勝利。約40年間もW杯予選で負けていないチームとの対戦だったが、メッシ率いる新生アルゼンチンは期待通りの結果を出した。9月11日の第8節はアウェーでペルーと対戦、1-1で引き分け、勝ち点1を得た。DFがいまひとつで全体的に出来が悪く、メッシの動きも悪かった。代表を乗せたバスが過激なペルーファンに襲われるハプニングもあったが、予選首位をキープしている。
 
 メッシは叩かれながらも代表で結果を残せるようになってきた。最近はメッシを中心にFWのアグエロ、イグアインら攻撃陣がうまく機能している。メッシの父は「国籍を変えて、スペイン代表になるオファーが来たが、彼はそんなことは一度も考えなかった」と証言する。メッシはやはりアルゼンチン人で、愛国心もある。アルゼンチンのために活躍することを望んでいる。14年W杯でメッシがトロフィーを掲げたら――その時アルゼンチン国民は何というのだろうか。(大野賢司=ブエノスアイレス通信員)

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