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【コラム】海外通信員

チェルシーを支えるブラジル人DF

[ 2011年3月24日 06:00 ]

練習で激しく競り合うチェルシーのF・トーレス(左)とD・ルイス
Photo By AP

 今冬の移籍市場では、リバプールからチェルシーに籍を移したフェルナンド・トーレスが話題をさらった。

 2008年にレアル・マドリードからマンチェスターCに移ったロビーニョの移籍金3250万ポンドを上回り、チェルシーが英国サッカー史上最高額となる移籍金5000万ポンドで獲得。F・トーレス本人は「僕の夢はチャンピオンズリーグで優勝すること。チェルシーならその夢を達成できる」と退団理由を説明したが、納得のいかない地元リバプールの一部サポーターが「Torres 9」のユニホームに火をつける騒ぎを起こした。ゴタゴタはこれだけでは収まらず、元チームメートのダニエル・アッガーが「敬意を欠く行為。俺はリバプールのシャツに誇りを持っているから、イングランドのほかのクラブには絶対に移籍しない」と苦言を呈すると、イギリスの大衆紙も「足手まとい。5000万ポンドの無駄遣い」と加入後なかなかゴールを奪えずにいるスペイン代表FWに噛みついた。入団直後から結果を求める英紙の酷評は行き過ぎとしても、良くも悪くもF・トーレスが今冬の話題の中心にいたことは間違いないだろう。

 そんな中、着実にその評価を高めているのが同じく冬の移籍市場でチェルシーに加わったダビド・ルイスである。ポルトガルのベンフィカからやってきたブラジル代表DFの入団は、"F・トーレス移籍"の陰に隠れて大々的に報じられることはなかった。しかし、安定したディフェンスと積極的な攻撃参加が注目され、今では「今季プレミアのベスト・バイ」との呼び声も高い。2300万ポンドの移籍金は決して安いとは言えないが、普段は口うるさいことで知られる英紙も「バーゲン価格」とD・ルイスの能力を高く評価している。

 テリー、イバノビッチ、アレックスと屈強なディフェンダーが揃うチェルシーCBのなかでD・ルイスは異質の存在だ。体の強さは彼らに劣るものの、読みの良さとスピードを生かしてカバーリングに疾走。とはいえ、空中戦やタックルもお手のもので、それまでは脆さが目立ったチェルシーの最終ラインに確かな安定感をもたらした。また、攻撃面でも大きく貢献。最終ラインからの正確な繋ぎで攻撃のリズムを刻むと、前方にスペースを見つければ縦方向へのドリブルで相手に揺さぶりをかける。右SBと守備的MFをこなす器用さも魅力で、マンチェスターU戦とマンチェスターC戦では強豪から先制点を奪う勝負強さを見せた。(田嶋康輔=ロンドン通信員)

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