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【コラム】海外通信員

クーマン監督就任 柔軟かつ結果を出せるオランダ代表へ

[ 2018年2月10日 08:00 ]

オランダ代表監督就任が発表されたロナルド・クーマン
Photo By スポニチ

 オランダ代表の監督が決まった。2月6日夕方、ロナルド・クーマンが新しい指揮官としてオランダサッカー協会から紹介された。驚きはない。最有力候補であったことから、順当に決まったというべきだろう。

 ロナルド・クーマンが監督としてまず初めに存在感を高めたのは、2001年から2005年までのアヤックスの監督時代。当時在籍していたズラタン・イブラヒモビッチやラファエル・ファンデルファールトらを要して躍進、02−03シーズンにはチャンピオンズリーグで準々決勝にまで進出するなど、監督として順調にキャリアを積み上げつつあった。05−06シーズンにベンフィカの監督を務めた後、07−08シーズン、スペインのバレンシアで監督に就任。しかし、低迷し、監督としてを評価を著しく下げてしまった。だが、母国オランダに戻ると、2011年から2014年までフェイエノールトの監督としてチームを優勝争いに導く手腕を発揮。改めてその存在がクローズアップされるようになった。2014年にサウザンプトンにステップアップすると、上位安定。2016年にエバートンに引き抜かれると、1年目は好成績を出した。しかし、2年目となった今季は低空飛行に。2017年10月に解任されている。

 ロナルド・クーマンがフリーになったことは、オランダ代表にとっては渡りに船だった。2022年ワールド・カップに向けて新体制を立ち上げる時期となった今、晴れてクーマンが新監督としてアナウンスされたわけだ。

 オランダが最後に輝きを放ったのは、2014年ブラジルワールド・カップだった。ベテラン戦術家ルイ・ファンハール監督に率いられたオランダ代表は5バックという”らしからぬ”リアリスティックな戦術で3位と好成績を収めた。しかし、その後は迷走する。アリエン・ロベン、ロビン・ファン・ペルシ、ウェズレー・スナイデル、ラファエル・ファンデルファールトという四銃士が30歳を越え、一人、また一人と代表から外れていく。だが、彼らに匹敵するほどの選手はそう簡単には台頭してこない。結果、ジワリと戦力が低下していった。そんな状況にあって、例えばファンハールが採用したようなリアリスティックな戦い方をするのか、それともオランダらしい4−4−3の攻撃的サッカーをするのか。揺れ動いている間に、2016年欧州選手権も2018年ワールド・カップも予選で敗退してしまった。

 ロナルド・クーマンとの契約は2022年まで。2022年ワールド・カップ出場が目標となる。

 「私がオランダに戻ってきて数ヶ月、オランダには十分にタレントがいるのがわかった。しかし、我々は物事を変えていかなくてはいけない。我々は最高級の選手は持てないかもしれないが、とても良いチームを作ることはできる。私は将来を見ている。我々が思っているほど、全てが悪いわけではない。私は海外でも経験をしてきた。違ったやり方で物事を進めていく」

 「オランダ代表は本大会に出場しなくてはいけない。過去2つの大きな大会に参加できていなかったとしてもだ。簡単なタスクだとは思わない。何が間違っていたのか。我々はトレーニングでもっと出来るし、違ったやり方もできる。戦術的にも、もっとできる」

 「3人のアタッカー?システムについて今、話すのはナンセンスだ。ただ、自分はシステムを変えることが出来る監督だ。我々は違ったバリエーションでもプレーできるようになるべきだ。ただ、ベースとなるシステムはある。それは4−3−3だ」。

 現在のオランダ代表において、ロベンやスナイデルに近いワールドクラスの選手は、リバプールに所属するヴィルジル・ファンダイクくらいだ。だが、それなりの質の選手は揃っている。アヤックスのDFマタイス・デ・レヒトやFWユスティン・クライファートといった10代の将来有望なタレントもいる。少なくとも欧州選手権やワールド・カップの予選を勝ち抜くくらいの戦力はあるのだ。クーマンは過去4年間迷走したオランダ代表に一定の指針を見出さないといけない。戦術面を含めて、オランダ代表をモダンにアップデートし、柔軟かつ結果を出せるチームへの変革を推し進めていくことになる。(堀秀年=ロッテルダム通信員)

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