×

カー娘、白星発進!米国に“ミリ差”勝利

[ 2010年2月18日 06:00 ]

米国との試合中、笑顔を見せる(左から)本橋、目黒、近江谷、石崎

 カーリングの1次リーグが開幕し、世界ランク9位の女子日本代表「クリスタルジャパン」は、同ランク6位と格上の米国を9―7で破った。氷の状態を読み切れなかった第2エンドまでに0―3とリードを許した日本は、スキップの目黒萌絵(25=みちのく銀行)の冷静なショットを軸に逆転。計測にまでもつれこんだ最終第10エンドにも1点を加え、劇的な白星発進を決めた。

【競技結果


 クリスタルジャパンの女戦士4人は、かたずをのんで計測結果を待った。審判員がコンパスのようにハウス(円)の中心に軸を刺した計測器で、ストーンまでの距離を測定。赤い米国ストーンの内側までの距離を測り、その半径のまま時計回りに黄色い日本ストーンまで測定器を回すと、日本ストーンにわずかにぶつかった。“日本の方が近い”――セカンド本橋はその瞬間、跳びはねて喜びを表現した。
 8―7とリードして迎えた勝負の最終第10エンドだった。後攻の米国のラストショットが、日本の黄色いストーンをはじいてハウスの中心近くにストップ。だが、中心からほぼ同じ距離で日本ストーンも残った。カーリングでは敗者が自ら負けを申告する精神が浸透しているが、目測では判断できない微妙な距離だったため、決着は計測に委ねられた。
 計測の結果、残った日本ストーンが「たぶんミリ単位で」(サード近江谷)ハウスの中心に近く、日本に1点が入り勝負が決まった。仮に測定結果が逆で、米国に1点が入っても、延長戦は規定により日本が有利な後攻。目黒は「覚悟はできていた」と振り返ったが、劇的な結末に目を細めた。
 序盤は氷の状況を把握し切れず、第2エンド終了時で早くも0―3の劣勢。それでも目黒は「2点を取れば流れが変わる。押されている感じはしなかった」と冷静だった。相手ミスショットが連続した第5エンドで大量3点を挙げて同点。欧州遠征で2度対戦し、曲げるショットが苦手と分析した“格上”とし烈な攻防を展開し、第9エンドで勝ち越して、劇的な勝利につなげた。
 旋風を巻き起こしたトリノ五輪では初戦でロシアに敗れ、最終順位は7位。2大会連続出場の“マリリン”の愛称で知られる本橋は「トリノがあるので初戦でつまずきたくなかった」と初戦に懸けた思いを口にした。阿部晋也監督は「ナーバスなスタートだったけど、いいショットを積み重ねて追いついて、最高の初戦になった」と喜んだ。
 目標の決勝トーナメント進出は1次リーグの4位以上が条件。次戦から地元でカーリング大国のカナダ、昨年の世界選手権女王の中国と難敵が続くだけに、世界6位を破った白星の意味は大きい。初出場の近江谷は「最初は緊張してショットにも影響があったけど、慣れてきた」と手応えをアピール。目黒は「声援が凄くてコミュニケーションが難しい部分はあるけど、改善していきたい」と気持ちを引き締めていた。

 ◆目黒 萌絵(めぐろ・もえ)1984年11月20日、北海道生まれの25歳。富良野高―弘前大出。みちのく銀行所属。06年トリノ五輪7位。1メートル63、50キロ。
 ◆本橋 麻里(もとはし・まり)1986年6月10日、北海道生まれの23歳。常呂高―日体大。NTTラーニングシステムズ所属。06年トリノ五輪7位。1メートル61、57キロ。
 ◆近江谷 杏菜(おおみや・あんな)1989年10月12日、北海道生まれの20歳。08年にチーム青森加入。網走南ケ丘高出。青森市役所に所属。父・好幸氏は98年長野五輪男子代表。1メートル65、63キロ。
 ◆石崎 琴美(いしざき・ことみ)1979年1月4日、北海道生まれの31歳。帯広南商出。木浪学園所属。02年ソルトレークシティー五輪8位。07年にチーム青森加入。1メートル66、54キロ。
 ◆山浦 麻葉(やまうら・まよ)1984年4月29日、長野県生まれの25歳。06年にチーム青森加入。長野高専―群馬大出。東奥日報社所属。1メートル64、61キロ。

続きを表示

2010年2月18日のニュース