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川口ぼう然4位…ロシア50年ぶり屈辱

[ 2010年2月17日 06:00 ]

ペアフリーの演技を終え、残念そうに手を取り合うロシアの川口悠子、アレクサンドル・スミルノフ組

 バンクーバー五輪フィギュアスケート・ペアのフリーが行われ、ロシアに国籍を変更した川口悠子(28)、アレクサンドル・スミルノフ(25)組はジャンプでミスを連発。フリー7位の120・61点にとどまり、合計194・77点でショートプグラム(SP)3位から4位に転落した。旧ソ連時代の64年インスブルック大会から続いたロシア勢の連覇は12で途切れ、メダルなしも60年スコーバレー大会以来50年ぶりとなった。SP1位の申雪、趙宏博組(中国)が合計216・57点の世界歴代最高をマークして初優勝した。

ペア競技結果

 笑顔のエンディングからは程遠かった。川口・スミルノフ組はSP3位からの逆転優勝どころか、銅のドイツに16点近く離されて4位。ロシア勢がペアでメダルを逃すのは50年ぶりの屈辱だった。「今季、一番ひどくてミスの目立った演技をしてしまった。凄く悔しい。順位ではなく、クリーンに滑りたいって強く望みすぎた」。国籍を変えてまで夢のリンクに立った川口は、か細い声で振り返るのが精いっぱいだった。

 心の揺れが、そのまま氷上に出てしまった。大技のスロー4回転サルコーに挑戦する予定だったが、演技直前にモスクビナ・コーチに3回転へ変更するよう告げられた。「4回転をすると思っていたので、切り替えがしっかりできなかった」。安全策を取ったにもかかわらず着氷が乱れて手をつき、ダブルアクセルではスミルノフがミスして単発のジャンプに。続くスロー3回転ループで川口が転倒し、表彰台が視界から消えた。

 98年長野五輪でロシア・ペアの演技に感動し、99年に日本を離れた。モスクビナ・コーチの指導を受けてトップ選手へと成長し、五輪に出場するためロシア国籍を取得した。だが、「日本人であること」をあきらめて迎えた大舞台で、「第2の祖国」にメダルをもたらすことはできなかった。「次のシーズンのことはまだ何も決めていない」。涙を流すことを忘れたかのような、ぼう然とした川口の表情がショックの大きさを物語っていた。

 ≪中国夫婦ペア 4度目の五輪で世界最高点V≫申雪、趙宏博の夫婦ペアが、世界歴代最高得点で中国勢初のフィギュア金メダルを獲得。4度目の五輪挑戦で悲願を達成し「長年の夢がかなった」と声をそろえた。3年前の世界選手権で3度目の優勝を飾り、氷上で趙宏博が申雪にプロポーズ。「生活らしい生活をしたい」と一度は引退したが、金メダルへの思いを断ち切れず3シーズンぶりに復帰した。競技を離れた時期にアイスショーで培った表現力は抜群。ロシア勢の13連覇も阻止し「記録は破られるためにある。それが五輪のだいご味なんだ」。輝くメダルに夫が熱いキスを送った。

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2010年2月17日のニュース