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日本電産サンキョーの最強支援が生んだメダリスト

[ 2010年2月17日 06:00 ]

スピードスケート男子500m2本目で34秒876の好タイムを出しコーチとタッチする時にバランスを崩し転倒する長島

 【スピードスケート男子500メートル】日本最高の環境がダブルメダルを後押しした。

 長島と加藤が所属する日本電産サンキョー(長野県下諏訪町)は、前身の三協精機製作所時代の60年スコーバレー五輪以来、14大会連続で五輪選手を輩出してきたスピードスケート界の名門中の名門。不況で各企業のスケート部が廃部に追い込まれる中、現在も手厚い支援を続けている。その1つが、他のチームと比べて充実したスタッフだ。02年ソルトレークシティー五輪後、カウンセリング等で有名な松下信武氏とメンタルコーチ契約を結んだ。精神面のケアを任せられる人物を置くチームは少なく、集中力の高め方やリラックス法などを選手は身につけることができる。
 また、昨季からショートトラック元日本代表の小沢竜一コーチが加入。1周111・12メートルの小さなリンクを滑走するショートトラックで要求される繊細なコーナーワークを伝授するほか、スケート靴のメンテナンスも手掛ける。夏場のオフには選手が単身で海外合宿を行うことも容認している。日本人でも海外勢に対抗できる短距離の強化に特化し、これらすべてのエッセンスを注入。98年に就任して環境を整備してきた今村監督は「エース格の選手をどう伸ばすか考えてきた。会社の理解があった」と万感の思いに浸った。

 ≪取り巻く環境は年々厳しく…≫男子500メートルで獲得した五輪メダルはこれで通算9個となった。だが、スケート界を取り巻く環境は年々厳しくなっているのも事実だ。バブル崩壊後の長引く不況で企業が次々に撤退。宮部保範や堀井学が所属した王子製紙のスケート部は8年前に廃部となり、競技に理解のあったコクド、佐田建設なども姿を消した。スポンサー企業と個人契約する選手のサポート体制では勝負にならないのが現実だ。

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2010年2月17日のニュース