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加藤の“武器”はSトラックで身につけた

[ 2010年2月17日 06:00 ]

スピードスケート男子500mを観戦する加藤の母・順子さん(上段左から3人目)

 【スピードスケート男子500メートル】身長1メートル65はスピードスケート出場選手中、最小。

 体格で外国勢に劣る加藤は「飛ぶように駆け抜ける」と評されるコーナリングの技術が武器だが、これは知らず知らずのうちに身についたものだ。3人の兄の影響でスケートを始めたが、最初はショートトラックとスピードスケートの両方を練習していた。山形中央高からスピード一本に絞ったが、直線距離がスピードより短いショートトラックのリンクで滑っていたため「体を倒す技術が身につき、高校のトップスピードに入ったときに役立った」と恩師の椿央氏は振り返る。

 プレッシャーに負けたトリノ五輪後の07年夏に渡米。米国チームの練習に加わる武者修行で心も鍛えた。もともと「条治」は父・昌男さんが「外国でも呼びやすいように」と名付けたもの。ゲーム好きという共通の趣味があるカナダ代表デニー・モリソンや、トリノ五輪1000メートル金メダリストのシャニー・デービスは気の合う友達だ。今回の選手村では数独でリラックスしていたそうだが、ひとたびレースに出れば、一気に集中力を高める気持ちを切り替える天才でもある。

 ≪母・順子さん「頭をなでてあげようかな」≫加藤の母・順子さん(55)は、出身地・山形の名物、花笠をスタンドに飾り親族ら7人で応援。表彰台にあがる息子の後ろ姿を見つめ「3位でもいいからメダルを獲らせてあげたいと思った」と喜びをかみしめた。男ばかり4人兄弟で「甘えん坊」の末っ子。レース前夜も「(事前)合宿の記録会でもスタートが滑れなかった」とボヤく息子に「何事も勉強」と優しく説いた。悲願のメダルに「よくやったって頭をなでてあげようかな」と対面を楽しみにしていた。

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2010年2月17日のニュース