365日 あの頃ヒット曲ランキング 5月

【1981年5月】サンセット・メモリー/売れたくなかった?杉村尚美 その瞬間“ヤバい”

[ 2011年5月12日 06:00 ]

杉村尚美のソロデビューシングル「サンセット・メモリー」
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 ★81年5月ランキング★
1 ルビーの指環/寺尾聰
2 夏の扉/松田聖子
3 長い夜/松山千春
4 ブギ浮きI LOVE YOU/田原俊彦
5 サンセット・メモリー/杉村尚美
6 奥飛騨慕情/竜鉄也
7 ヨコハマ・チーク/近藤真彦
8 お嫁サンバ/郷ひろみ
9 シャドー・シティー/寺尾聰
10 渚のラブレター/沢田研二
注目シンデレラ・サマー/石川優子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【サンセット・メモリー/杉村尚美】

 曲をもらった瞬間、“ヤバい”というのが第一印象だった。3人のフォークグループ「日暮し」解散から2年。27歳でソロシンガーとして再出発した杉村尚美に与えられた「サンセット・メモリー」は、バリバリの売れ筋のメロディーだった。

 そのころ、気楽なアマチュアとしての音楽活動に心が傾いていた杉村。「売れたら辞められなくなる」と、歌手としては珍しい“危機感”を抱いた。

 日本テレビ系ドラマ「炎の犬」の主題歌に採用され、さらにその“危機感”は増した。タイアップ=ヒット曲という図式は、音楽業界では常識。ドキドキしながらレコード売り上げやラジオの電話リクエストの動向を気にしていたが、発売した1月25日以降、ランキングの上位に杉村の名前はなかった。

 心配も杞憂に終わろうとした矢先、「あの主題歌を歌っているのは誰?」という話が各所で聞かれるようになり、テレビの歌番組に出演するようになると、有線放送などからジワジワ火がつき、ドラマ終了後にブレーク。TBS「ザ・ベストテン」にも登場すると、レコード売り上げが急上昇。5月に最高4位まで記録。累計46万枚をセールスした。

 「急にスポットライトを浴びてしまって、自分は場違いなところにいるというのが本音だった。外も自由に歩けなくなったし、大変でした」と杉村。20代で結婚したいという願望が強かったが、大ヒットを飛ばした以上、すぐに引退とはいかず、“期限ギリギリ”の29歳まで活動。シングル3枚、アルバム2枚を出し、結婚を機に引退。以後、ほとんど公の場には姿をみせず専業主婦。子育てから解放されると美容アドバイザーとして活動している。

 祖父は国立音大創立者の一人に名を連ねるピアニスト、父は音楽の教師で母もピアノの先生という音楽一家の出身。高音が気持ちよく伸びる実力派の歌手だった。

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