365日 あの頃ヒット曲ランキング 5月

【1990年5月】さよなら人類/“イカ天”の代名詞「たま」 ブームで社会現象にまで発展

[ 2011年5月4日 06:00 ]

一大ブームを巻き起こした「たま」のメンバー。(左から)石川浩司、滝本晃司、知久寿焼、柳原幼一郎
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 ★90年5月ランキング★
1 OH YEAH!/プリンセス・プリンセス
2 さよなら人類/たま
3 浪漫飛行/米米CLUB
4 WEEK END/X
5 千流の雫/工藤静香
6 天と地と/小室哲哉
7 サマータイムブルース/渡辺美里
8 Sexy Music/Wink
9 JEALOUSYを眠らせて/氷室京介
10 無敵のビーナス/GO―BANG’S
注目夏の友達/CoCo
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【さよなら人類/たま】

 おかっぱ頭にかすりの着物、そしてサンダル姿、かの放浪の天才画家、山下清さんを彷ふつさせる丸刈りにランニングシャツ姿の大男…その風体は古い民話の中の登場人物のよう。童謡のような脱力してしまうようなゆったりしたメロディで全く気張ることもなし。それでいて伝えるメッセージは、人類は心を忘れた人間ばかりになると、いずれ“猿の惑星”のようになってしまうというシュールな内容で結構キツい。

 4人組のアコースティックバンド「たま」のメジャーデビュー曲は、なんだか得体の知れない不思議さも手伝ってオリコンチャート初登場で1位に。60万枚をセールスした。

 平成の幕開けと時期を同じくするバンドブームのけん引役となった、TBS系の音楽番組「平成名物TV・三宅裕司のいかすバンド天国」で「イカ天キング」となり、メジャーデビューの道が開けた。元々応募動機は「イカ天に出たら宣伝になって、ライブ告知のチラシ作りとか集客の手間が省けるかなと思って。軽薄だと思われるのは嫌だったけど」(ボーカル、マンドリンなど担当の知久寿焼)。

 かといって「さよなら人類」が受けやヒットを狙ったかといえば、作詞・作曲の柳原幼一郎は「自分たちが面白いと思ったことを歌にしただけ。受けやヒットを狙うと自分たちが気持ちいいと思って歌えなくなる」。

 結果的には、たまが参加していたインディーズレーベルの借金は大ヒットで完済。おつりがくるほどに。たま自身もCM出演や取材が殺到。好むと好まざるにかかわらず、有名人となり、果てはみNHK「紅白歌合戦」にまで初出場。「たま現象」という言葉まで社会で使われるようになり、ブームはとてつもない広がりをみせた。

 結成は84年。バンド名に特に意味はなく、「意味を持たないことが意味」としている。紅白出場後は祭りの後のようにブームは静かになったが、たまにとっては本来の活動に戻っただけ。03年の解散まで自分たちのスタンスでライブをやり続けた。

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