365日 あの頃ヒット曲ランキング 5月

【1993年5月】揺れる想い/一色沙英効果もあった ZARDの人気を不動にした名曲

[ 2011年5月31日 06:00 ]

 ★93年5月ランキング★
1 愛を語るより口づけをかわそう/WANDS
2 君がいない/ZARD
3 揺れる想い/ZARD
4 別れましょう私から消えましょうあなたから/大黒摩季
5 夏を待ちきれなくて/TUBE
6 彼女の恋人/槙原敬之
7 このまま君だけを奪い去りたい/DEEN
8 幸せになるために/中山美穂
9 愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない/B’z
10 大切なあなた/松田聖子
注目今年いちばん風の強い午後/観月ありさ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

 【揺れる想い/ZARD】

 93年はボーカルの坂井泉水に象徴されるバンド「ZARD」が一気に認知された1年だった。

 ブレークのきっかけが1月発売の6枚目のシングル「負けないで」なら8枚目となる「揺れる想い」は、その人気を不動のものにした代表曲という位置づけができる。

 5月19日に発売され、オリコンの31日付チャートでは初登場で1位。売り上げでは「負けないで」の165万枚に及ばなかったが、堂々140万枚をセールス。ZARDのCDシングルの中でも2番目の大ヒット曲としてファンの間でも支持の高い作品である。

 作詞は坂井自身だが、作曲は織田哲郎。そうくれば大塚製薬の「ポカリスエット」CMソングという図式だが、「揺れる…」を使ったCMは同シリーズの中でも傑作の1つとして挙げられる。

 自転車の前かごに、自動販売機で買った缶入りポカリを2本入れて、お尻を上げながら坂道をグングンこいで登っているのは、当時CMに引っ張りだこだった女優の一色沙英。目指すは野球場。憧れのあの人(彼氏?先輩?)は野球部の投手。サヨナラ負けした悔しさで、他の部員が帰った後も、一人で黙々とバックネットめがけて投げ込んでいた。そこへグラウンドに滑り込んできた自転車。息をはずませながら、右手に握ったポカリの缶を投球フォームをまねて投げようとする一色は、彼を励ますかのように目いっぱいの笑顔。そして背中合わせになってポカリをゴクリ…。

 初夏の匂いが伝わる、わずか30秒の映像。坂井の透き通った歌声はもちろん、歌詞の「このままずっとそばにいたい」という何気ないフレーズは、年齢に関係なくグッとくる“殺し文句”。バブルもはじけ、就職氷河期到来といわれていた時期。ますます強くなる女性が多くなる中で、男性にとって「まだこんなコがいたのか」と思わせるような、素直な気持ちを歌った曲はあっという間にヒットチャートの上位を駆け巡った。

 7月には同名のアルバムもリリースされ、瞬く間に大ヒット。この頃からテレビ出演しないZARD、坂井泉水についてあれこれ詮索する週刊誌なとが多数出版されたが、その神秘性とジャケットの写真からうかがえるはかなげな美しさがさらにリスナーのさまざまな想像をかきたて、しばらくの間ZARDの新曲はリリースすれば即ヒットの構図が続いた。

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