365日 あの頃ヒット曲ランキング 5月

【1983年5月】夏色のナンシー/CM効果大 早見優初のヒット曲はハワイ一色

[ 2011年5月7日 06:00 ]

早見優5枚目のシングル「夏色のナンシー」
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 ★83年5月ランキング★
1 天国のキッス/松田聖子
2 め組のひと/ラッツ&スター
3 真夏の一秒/近藤真彦
4 君に、胸キュン。/イエロー・マジック・オーケストラ
5 矢切の渡し/細川たかし
6 夏色のナンシー/早見優
7 Zokkon命/シブがき隊
8 めだかの兄妹/わらべ
9 真っ赤な女の子/小泉今日子
10 夏色のダイアリー/堀ちえみ
注目初恋/村下孝蔵
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【夏色のナンシー/早見優】

 ハワイ・ホノルルの三越でスカウトされてから2年、レコードデビューして1年。5枚目のシングルで、16歳のアイドル・早見優は初めてヒットチャートベスト10入りを果たした。

 グアムとハワイで計11年生活し、英語がペラペラ、正しい日本語も祖母仕込みの「バイリンギャル」はデビュー時からいきなりCM3本に起用されるなど順風満帆。あとはヒット曲だけという中で、それを後押ししたのはやはりCM。さわやかで好感度抜群のコカ・コーラのTVCMに出演した本人をバックで流れる「夏色のナンシー」がより引き立てた。

 CMはハワイで83年の年明けから2週間かけて数パターンを撮影。趣味のローラースケート、「平泳ぎなら1キロは行ける」という得意の水泳や海のシーンをふんだんに採り入れた。これがプロモーションビデオ代わりになり、CMがきっかけでファンになったというパターンが続出。レコード売り上げにつながった。

 「夏色の…」は当初、ナンシーではなく、早見のハワイでの愛称のキャシーにしようという意見もあったが、歌いにくかったことでナンシーに。コカ・コーラーが誰にでも愛される清涼飲料水であることから、英語圏でなじみの深い名前のナンシーに落ち着いた。

 英語のコーラス部分は早見自身の作詞。ハワイで生活する年ごろの女の子の日常というテーマで描かれた三浦徳子の詞と、デビュー時から作曲を依頼し続け、ようやく実現した筒美京平との出会いで、レコードは40万枚売れた。

 ハワイの友達に日本で歌手で頑張っていることを知ってもらいたかった。そのため、ベスト10入り以上に切望していたのがNHK「紅白歌合戦」への出場だった。日本のヒットチャートの様子をハワイで知ることは当時難しかったが、紅白は衛星中継で年末に放送される。「紅白に出れば、みんな私の今の仕事をわかってもらえる」。その念願かなって、83年の紅白に初出場。“花の82年組”では中森明菜とともに、先陣を切って大みそかのひのき舞台に立った。

 アガサ・クリスティーの小説を愛読し、「大学だけはどうしても行きたい」という夢を持つなど、自分の意志をきちっと持っていたアイドル。歌手の先輩や同僚の中には、意見をしっかり言う態度を快く思っていないこともあったようだが、有限実行で上智大学を“一浪一流”して卒業した。

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