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【1973年5月】赤い風船/浅田美代子 危なっかしが“いい宣伝”に

[ 2011年5月15日 06:00 ]

浅田美代子のデビュー曲「赤い風船」
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 ★73年5月ランキング★
1 赤い風船/浅田美代子
2 危険なふたり/沢田研二
3 若葉のささやき/天地真理
4 赤とんぼの唄/あのねのね
5 妖精の詩/アグネス・チャン
6 傷つく世代/南沙織
7 女のねがい/宮史郎とぴんからトリオ
8 愛への出発(スタート)/郷ひろみ
9 夕顔の雨/森昌子
10 オレンジの雨/野口五郎
注目同棲時代/大信田礼子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

 【赤い風船/浅田美代子】

 歌唱力云々よりも、小首をかしげた17歳のあどけなさが残る笑顔のジャケットに魅かれて男の子は浅田美代子のレコードに500円を払った。

 TBS系ドラマ「時間ですよ」の主題歌として、ドラマのエンディング近くに星空の下で、共演の大先輩・堺正章とともにギターを弾きながら歌う「赤い風船」が4月21日にリリースされると、5月中旬にはオリコンチャートで1位に。以後、5週連続トップをキープし、48万枚をセールスした。

 東京・青山のバザーで友達といるところをスカウトされた。「時間ですよ」で、地方から出てきた銭湯の従業員役のオーディションを受けたところ、2500人の中から選ばれた。しかし、演技も歌もすべてドが付く素人。特に歌は音程もままならず、連日の基本レッスンもなかなか進まなかった。

 それでも所属レコード会社のCBSソニーはこの新人の売り出しに力を入れた。「ソニーのエンジェル」のキャッチフレーズの下、新車3台に浅田美代子の名前と「赤い風船」のタイトルを書き、キャンペーンで全国各地を回った。ラジオなどにも積極的に出演。あの危なっかしい歌い方が逆に注目され、“いい宣伝”となった。

 セカンドシングルとなった「ひとりっ子甘えっ子」も20万枚近くを売り、日本レコード大賞の新人賞に選ばれ、トップアイドルへの階段を登っていったが、デビューから半年もNHKの歌番組に呼ばれたことがなかった。

 というのも、当時NHKで歌うには人気アイドルといえども、オーディションがあった。浅田は3回受けていずれも不合格。初めて出演OKとなったのは、73年10月1日のオーディション。わざわざバンドを自前で連れて来ての合格だった。当時の審査員の一人は「アマチュアの延長のようで稚拙で幼稚な面はあるが、若々しさがかわいい。音程は外さなかったし、合格点ギリギリのちょっと上」と微妙な評価をしている。

 「時間ですよ」で共演した、女優の樹木希林とは公私で親交が深い。77年に浅田は吉田拓郎と結婚(84年に離婚)したが、交際が公になった際、「だまされているかもしれない。相手の腹を知りたい」と、夫の内田裕也とともに吉田の行きつけの店に“殴り込み”をかけたこともあったという。2人の剣幕に驚いた吉田は真剣に交際している旨を伝え、結婚への道が開けた。

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