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【1977年5月】雨やどり/復活したさだまさし 喫茶店で見た絵で浮かんだ歌詞

[ 2011年5月22日 06:00 ]

さだまさし2枚目のシングル「雨やどり」
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 ★77年5月ランキング★
1 夢先案内人/山口百恵
2 雨やどり/さだまさし
3 帰らない/清水健太郎
4 カルメン’77/ピンク・レディー
5 やさしい悪魔/キャンディーズ
6 悲しきメモリー/郷ひろみ
7 フィーリング/ハイ・ファイ・セット
8 悲恋白書/岩崎宏美
9 沈黙/野口五郎
10 硝子坂/高田みづえ
注目あずさ2号/狩人
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

 【雨やどり/さだまさし】

 それはまださだまさしがソロとしてゆっくり活動を再開した頃の話だった。77年1月29日、東京・渋谷公会堂でのコンサート。その前日に何気なく作った1曲を披露することで、人気フォークデュオ「グレープ」から脱皮する大きなきっかけとなった。

 雨やどりすることで偶然知り合った男女。男性のちょっと抜けているけど爽やかなところに恋した女性が、彼との突然の再会を機に家族へ紹介することになり、突然のプロポーズをされるというストーリー仕立て。コンサートで歌うと瞬く間にファンの話題となり、評判の高いことからシングルレコードになった。

 当時としては珍しいコンサート会場での録音を音源としており、聴き手はその手法に新鮮さを覚え、レコード売り上げは70万枚に達した。ラジオの電話リクエスト番組では、軒並み1位を獲得。オリコンチャートでもグレープでなしえなかった1位の座についた。

 肝炎を患い、療養のためにグレープを解散。その後、半年の充電期間を経て、徐々に再起動を始めた矢先、喫茶店にかかっていた1枚の絵画に出会った。さだは当時のインタビューでこう答えている。「かわいい絵なんですよ。下ぶくれのほっぺたの女の子でね。赤いかすりの着物着て、しもた屋の軒先で雨やどりしている。脇に犬がいたりしてね。見ているうちに浮かんだ詩が“あなたの胸に雨やどり…”だった」。

 さだは「雨やどり」の後にリリースしたシングル「吸殻の風景」のB面で「もうひとつの雨やどり」を発表。プロポーズに戸惑う女性の揺れる気持ちを歌ったことはファン間では有名な話だ。

 歌というより、独り言をコミカルに曲に乗せるというさだ独特の手法は、その後も妹の成長、そして結婚を描いた「親父のいちばん長い日」などに受け継がれている。

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