365日 あの頃ヒット曲ランキング 5月

【1980年5月】ランナウェイ/歌は本業でなかったシャネルズ デビュー前から長蛇の列

[ 2011年5月1日 06:00 ]

デビュー曲にして最大のヒット曲となったシャネルズの「ランナウェイ」
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 ★80年5月ランキング★
1 ランナウェイ/シャネルズ
2 蜃気楼/クリスタル・キング
3 謝肉祭/山口百恵
4 昴(すばる)/谷村新司
5 倖せさがして/五木ひろし
6 贈る言葉/海援隊
7 南回帰線/堀内孝雄・滝ともはる
8 タブー~禁じられた愛~/郷ひろみ
9 愛の園/西城秀樹
10 恋のバッドチューニング/沢田研二
注目裸足の季節/松田聖子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

 【ランナウェイ/シャネルズ】

 その出で立ちがまず衝撃的だった。顔面は靴墨を塗りだくり、キャバレーのボーイのような蝶ネクタイに黄色のタキシード、髪型はリーゼント…。総勢10人組の異色グループの名前は「シャネルズ」。もともと京浜地区で中学時代の同級生だったり、知り合いだった仲間がバイク事故で亡くなった友人の追悼にとロックを演奏したことがきっかけで結成されたバンドだった。

 そのデビュー曲が「ランナウェイ」。「ドゥワ ドゥワ」というスキャットのコーラスが特徴の“黒人の演歌”「ドゥワップ」は決して新しくはなかったが、5、60年代を知らない若者には支持された。ステレオのCMソングになるとさらに広まり、レコード売り上げ、ラジオのリクエスト、有線と軒並み1位を獲得。110万枚のミリオンヒットとなった。

 満を持しての登場だった。デビューまでかかった歳月は5年。2年目にTBSのバラエティ番組「ぎんざNOW」のアマチュアグループ人気投票で1位となり、翌年はソニーが主催のコンテストで決勝大会に残り、あのサザンオールスターズとしのぎを削った。

 78年も同コンテストに出場。この時、さらにインパクトが必要と、シャネルズの原形であるボーカル担当の4人が顔を黒く塗り、目立つタキシードを着るという路線を確立。レコード会社に認められたが、ライブで腕を磨いてデビューするという方針に従い、1年間新宿のライブハウスに月3回のペースで出演。夜のステージにもかかわらず、朝から長蛇の列ができるほどの人気となり、ようやくメジャーシーンに立つことになった。

 当時、リーダーの鈴木雅之は実家の鉄工所で働く旋盤工、他のメンバーもトラック運転手やガソリンスタンドやデパート勤務といった本業を持ち、歌はむしろ仕事の後の趣味だった。だが、実力は群を抜いており、格好だけでなく、その歌が認められるまで時間はかからなかった。

 鈴木の両親は「どうせやるならしっかりやれ」とバンド活動を応援。衣装の一部の蝶ネクタイは母親の手作り、父親はライブハウスに革ジャンを着て“サクラ”となって先頭を切って会場を盛り上げ、息子を励ました。

 間もなく歌の道1本に絞った10人。衣装は東京・浅草の合羽橋商店街で買ったとか、当初つけていた靴墨は肌に悪いと聞くとドーランに切り替えた、など、その一挙手一投足が何でも話題になっただが、夏場に一部メンバーによる不祥事が発覚。一時活動停止に。復活後に出した3枚目のシングル「街角トワイライト」も72万枚をセールスした。

 83年に「ラッツ&スター」に改名。「もともと京浜工業地帯の働く仲間がドブネズミみたいに這い上がってきたグループ。もう一度、原点に戻って星をつかもう、スターになろうという気持ちを込めた」と鈴木。“再デビュー曲”「め組の人」も62万枚セールスの大ヒット曲となった。

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