糸谷八段 王将リーグ最後の1枠に 愛称「怪物」の豪腕が冴え渡る 6度目参戦で初挑戦目指す

[ 2021年8月26日 19:41 ]

2次予選決勝で八代弥七段(左)に勝利し、挑戦者決定リーグ入りを決めた糸谷哲郎八段
Photo By スポニチ

 第71期ALSOK杯王将戦2次予選決勝が26日、大阪・関西将棋会館であり、糸谷哲郎八段(32)が八代弥七段(27)に134手で勝利し、2年ぶり6度目の挑戦者決定リーグ入りを決めた。これでリーグに出場する棋士7人全てが決まった。

 「毎回思うのは、強い人しかいない。まずは勝ち越しを目指したい」。新鋭と強豪が入り乱れ、出場7人中3人が陥落する棋界一過酷なリーグ。糸谷はそう意気込みを語った。

 最高成績は第68期、挑戦者決定戦に進出した。リーグを4勝2敗とし、当時の渡辺明棋王と挑戦権を争ったが敗れた。その後、渡辺は久保利明王将との7番勝負も制し、以来3連覇。一方、自身は今年棋王戦に挑戦したが、タイトル獲得は2014年の竜王位以来遠ざかる。確率的にも初挑戦しておかしくない出場回数だけに、「リーグで4勝2敗、5勝1敗できれば自然とプレーオフ出場に近づく」と周囲との星勘定に惑わされることなく、指し手に向き合うことで突破を目指す決意だった。

 八代戦は当初、雁木を想定していたが、矢倉党の先手八代の初手▲2六歩に予定変更したという。「最近自分が雁木ばかりやっていたので」と相手の準備に警戒感を抱き、代わりに後手番で多用する阪田流向かい飛車を繰り出した。

 「序盤自分からテンポを取りに行ってうまくさせたかと思ったが、王が薄かった。中終盤、逆転されたかと思ったが首の皮一枚残していた」と薄氷の勝利を振り返った。

 58手目、△4九飛と4八の銀を狙って駒台から飛車を打ち込んだ。▲3九金でいきなり飛車が捕まってしまうため、選択しにくい強手だったが「薄い王でも臆せずに。自分の棋風かと思った」。愛称「怪物」の豪腕が冴え渡った。

続きを表示

2021年8月26日のニュース