シートベルトのように肘を守る 大谷も受けたインターナルブレース手術が選手の間で人気高まる

[ 2024年4月12日 09:15 ]

キャッチボールをする大谷(撮影・光山 貴大)
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 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」がドジャースの大谷翔平選手も受けたインターナルブレース手術が肘に有効で、選手の間でも人気が高まっていると報じている。

 UCL(UlnarCollateral Ligament/肘側副靭帯)は肘関節の内側に位置し、肘の安定性を提供する重要な靭帯。これが損傷したときに、他の場所から腱を移植するのが側副靱帯再建術(通称トミージョン手術)だが、インターナルブレースはUCLを、肩甲骨と尺骨に固定されたテープ状の縫合材料で補強する。完全にUCLを断裂していないアスリートにとってトミージョン手術の代替手段として役立つ。特に10代の若い選手の間で広まっており、高校生や大学生が移植を回避し、元からあった組織を癒やす。これなら回復時間は約半分で、通常、約6カ月後に投球を再開できる。

 しかし、多くのメジャーリーグの投手の場合は組織の損傷がひどくなっているのでこれだけでは済まない。ナッシュビル在住で、バンダービルト大や、3Aサウンズを担当するエリック・ボウマン医師は「単にインターナルブレースで縫合するだけでは、ストレスの一部を緩和するだけで、悪くなった組織は回復しない。ゆえに移植物を入れる必要がある」と説明する。今、MLBで肘の手術で有名なのはドジャースのチームドクターのニール・エルアトラッシュやレンジャーズのキース・マイスター。彼らは大谷やジェイコブ・デグロムの2度目の手術では、組織を移植をした上にインターナルブレースも使用した。ハイブリッド手術とも呼ばれているが、ブレースが新しい靱帯を強化することが期待されている。

 エンゼルスのブライアン・シュルツ医師は「インターナルブレースはシートベルトのようなもの。シートベルトはあなたの車が急停止しない限り重要ではない。靭帯に過度の力が加わると、ブレースはそれが完全に断裂するのを止める、または全く断裂しないようにするでしょう、理論上は」と説明している。

 マイスター医師がダラス・モーニング・ニュース紙に語ったところによると、彼が行った300件のハイブリッド手術のうち失敗はわずか1%だったそうだ。

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