【落合×鈴木啓示対談】鈴木氏が現役続行決意した西本幸雄監督の言葉「その言葉がなかったら…」

[ 2024年3月12日 17:05 ]

鈴木啓示氏(右)とオレ流チャンネル「博満の部屋」で対談した落合博満氏
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 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(70)が12日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。大好評対談企画「博満の部屋」の第6回目として、歴代4位の通算317勝を挙げた元近鉄投手・鈴木啓示氏(76=本紙評論家)をゲストに招いて対談を行った。

 鈴木氏は「満足したら人間成長しないね」と話すと、落合氏も「だと思いますね」とうなずいた。20勝以上を挙げても「鈴木君ばっかりな給料上げるわけにもいかへんねん。チームがもうちょっと頑張ってくれてたら上げられるんやけどな」とチーム成績を理由に昇給が抑えられていたことを明かした。

 西本幸雄監督が就任し、1979年、1980年と2年連続優勝。しかし、鈴木氏が10勝(8敗)、14勝(8敗)と成績は振るわず「それよりも井本(隆)とか柳田(豊)とかの方が監督には信頼があったわけや。だから、日本シリーズで広島とやったけど、敵は広島の打線とか山本浩二選手とか衣笠(祥雄)選手とか水谷(実雄)選手とか広島の打線の勝負するという気持ちやなくて西本監督に俺をもう1回認めてもらいたいと。俺の敵は西本監督やったんや」と振り返った。

 「しょうもないことを言うてしもた。今思っても冷や汗をかく」と明かしたのが、日本シリーズで完封勝利を挙げた際のヒーローインタビューだ。ベンチに座る西本監督に向かって「監督、見てたかな?」と認められたい一心でアピールしたという。「それくらいアホなこと言うてね。やっぱり監督に何とか認めてもらいたいという」と当時の心境を明かした。

 2年連続で進んだ日本シリーズでは2年連続で第2戦の先発を任された。「監督も私の性格をつかんでくれとった。“お前はどっちか言うたらな、褒め育てたらあかんねん。お前なんか問題してないでって言うた方がお前は牙むきよんねん。怒らせた方がええねん”ってね。監督として俺に全くなかったことやな。そんな人の気持ちまでわからんかったわ。やっぱり西本さんはちゃんとその選手の性格をつかんでくれてはったんやね。そういうことまで監督は読んでいただいとったんやな。西本さんに育ててもらった。西本さんに成長させてもらったという気持ちがありますね」と振り返った。

 300勝到達が視界に入った「270勝くらいの時」だったという。「チームが優勝して監督のところに行ったんですよ。監督、ワシ、チームに迷惑かけとるし、給料は日本のピッチャーの中で1番高うもろとるのにいっこも働かんと、役に立たんとごめんなさいね。何やったら来年からユニホーム脱ぎましょうかって言ったんや」と進退伺いを出したという。しかし、西本監督は「お前の目を見たら、そんな辞めたそうな顔してへん。辞めんのはいつでも辞められるから。もうちょっとしんどい道を選んでみ」と引き留めたという。その言葉を受けて引退を踏みとどまった鈴木氏は「その言葉がなかったら私は300勝もできてなかった」と翻意させてくれたことに感謝した。

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