鳥越裕介氏 「二塁一本」で初めてのGG賞を狙う牧原大に期待している

[ 2024年3月12日 06:00 ]

ソフトバンク・牧原大
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 【鳥越裕介 かぼす論】牧原大成は2010年の育成ドラフト5位でソフトバンクに入団。今でこそ、内外野ができるユーティリティー選手の印象が強くなっているが、もともとは遊撃手。面白い選手だという第一印象で一つ上の今宮の対抗馬にという構想も描いていた。

 今季は「二塁一本」を打ち出している。それなりに自信があるのだろう。プロ14年目。ここまでやってきた中で自分の家がないのだ。“賃貸”はもういい。ここで家を建てたい。しっかりと腰を落ち着けて内野で勝負したい気持ちはよく分かる。

 内外野をやると当然、両方練習をしなければならない。こだわりを持って技術を上げたいというならば1つのポジションに絞ったほうがもっと練習できるし、突き詰められる。パ・リーグを見渡してもセカンドなら負けないという思いもあるのだろう。将来のことを考えても、便利使いで終わってしまうのも嫌なのだろう。小久保監督も牧原大がここまで頑張ってきたのをよく分かっていて、タイトルを獲らせてあげたいという気持ちもあるようだ。それによって自信にもなる。私自身はタイトルを獲ったことがないので分からない部分もあるが、覚悟を決める時には退路を断つということは大事なことなのだと思っている。言った以上、結果で証明するしかない。

 ここまでの歴代の一流選手は、こだわりがあり、いい意味で頑固。そういう人ではないとこの世界は生き残っていくことはできないと思う。私は現役時代に一塁を守れと指示された際、意地でもファーストミットは作らなかった。チームメートの本間満のミットを借りて行っていた。結局、ここという場所をつかんだ選手ではなかったが、個人としてはそういうこだわりはプロとしては必要なことだと思う。

 以前、牧原大はゴールデングラブ賞の「ユーティリティー部門」があればいいというコメントをしていたそうだ。そんなことは言わないほうがいいのではないか。評価は人がするもので、自分がするものではないと思う。やはりタイトルが欲しいのであろう。WBCで世界一になった人間だ。必ず日本で一番になれると思うし、タイトル以上のものを見せてほしいと思う。期待している。 (野球解説者)

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