【落合×鈴木啓示対談】転機は敵将・鶴岡一人監督の目にとまった南海戦の初完封 球宴大抜てき

[ 2024年3月12日 17:20 ]

鈴木啓示氏(右)とオレ流チャンネル「博満の部屋」で対談した落合博満氏
Photo By スポニチ

 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(70)が12日、自身のYouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。大好評対談企画「博満の部屋」の第6回目として、歴代4位の通算317勝を挙げた元近鉄投手・鈴木啓示氏(76=本紙評論家)をゲストに招いて対談を行った。

 鈴木氏はプロ入りで転機となった試合について語った。「ちょうどロッテ戦や。藤井寺球場のオープン戦で先発して押し出しのフォアボール出して、監督が“こんなピッチャー使えるかい”って2軍のピッチングコーチに怒ってんねん。それで2軍に落とされた。それで5月の始めまで2軍やった。それで同じ負けるんやったら今年獲ってきた鈴木を使おうかってまた使ってくれたんや。それで南海をたまたま完封したんや」と思い出の試合を挙げた。

 その試合は入団1年目の1966年6月3日の南海戦(日生)だった。「こんなこと言うたらあかんけど、南海と近鉄がやるいうたら、近鉄のピッチャーは試合前になったらどこか痛いって必ず仮病を使うわけや。というのはね、南海とやっても負け星増やしにいくようなもんや。あの当時は南海か西鉄が強かったんや。近鉄なんかパ・リーグのお荷物で強くないから、南海とやっても勝てっこない。南海戦の時はブルペンでピッチングしとって、(ある先発投手が)“監督、ブルペンで投げとったんですけど、肘が痛いんですわ”って。で、(監督が)他のベンチに入っとる選手をパッと見たら、自分に回ってきたらかなわん思ってよそ向いとったんや。俺はわからんで、監督とピッチャーのやり取りを聞いとったんや。このピッチャーかわいそうやな、肘痛めたんやなって、私だけそのピッチャーと監督のやり取りを見とったもんやから、“誰か行かさなしゃあないやないか”って言われた時に“お前、行け”って言われて。私は負け星増やしに行くのが嫌やとか思わへん。俺、使うてくれるやないか。感謝の気持ちで投げよう、言うて投げたんや。そしたら、強い南海を(5-0で)完封したんや」と振り返った。

 その完封劇は敵将の鶴岡一人監督の目にもとまった。「翌日、新聞全紙に書いていただいとったんやけど、鶴岡監督が“これは近鉄にというよりもパ・リーグに凄いピッチャーが出てきた。パリーグのために育てないかん”と」。鶴岡監督はその言葉だけでなく、実際に行動にも移した。鈴木氏は1年目、球宴前までに5勝4敗の成績だったが、監督推薦で球宴に出場することになった。「南海に2つ勝っとったんや。その時に鶴岡監督の印象に残っとったから。あの時は20勝以上が一流ピッチャーやったから、オールスターは半分。少なくとも2桁以上は勝っとかないと監督推薦なんかで選べないねん。鶴岡監督、俺を選んでくれたんや」と驚いた様子で話した。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年3月12日のニュース