広島・黒田球団アドバイザーに単独インタビュー 若鯉に伝えたい「投げ込みの重要性」

[ 2024年2月6日 05:45 ]

ブルペンで広島・森の投球を見守る黒田球団アドバイザー(撮影・平嶋 理子)
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 先ごろ野球殿堂入りした広島OBで球団アドバイザーを務める黒田博樹氏(48)が春季キャンプ休日の5日、スポニチの単独インタビューに応じた。初日から献身的に動き回り、飛躍を願って若ゴイらに惜しまず助言するレジェンド。視察に訪れた松坂大輔氏(43=本紙評論家)とも「投げ込み」で認識が一致し「投球動作の再現性を高め、故障のリスク軽減につながる」とその重要性を説いた。(取材構成=江尾 卓也)

 ――キャンプ第1クールを終えての印象は。

 「オフの間にみんな、キャンプインに向けて体をつくってきたな…と凄く感じますね」

 ――秋と違い、春はシーズンに向けた調整。

 「春は競争、勝負の場です。昨秋に取り組んだ成果を春に見せてほしいし、春にまたいろんなことに挑戦し、実戦で打者の反応を見ながら矯正していってほしいな…と思います」

 ――主力投手たちも2日目にして早くもブルペン入り。

 「ある程度は計算されている立場の投手なので、調整は本人たちに任されていると思いますし、順調にきていると思いますね」

 ――森は4日目に121球。投げ込みをどう考えているか。

 「キャンプで何千球も投げた、昔のような投げ込みは求めていません。ただ状態がいいと感じた時に、体に染み込ませる、覚えさせる目的で球数を増やすのはいいと思う…と選手には伝えています。投げ込もうと思って投げるのではなく、自分の感覚の中で球数を増やす必要を感じるならチャレンジしてほしい」

 ――疲れた状態で投げ込みを続ける意味は。

 「打者と違って、自分で始動できる投手はフォームの再現性が大事です。それにケガのリスクとよくいわれますが、試合では120%で腕を振るので、ブルペンに倍する負荷がかかる。疲れた時に体の負担を減らしながら、どう打者に立ち向かうか。疲れた中でボールを操るテクニックを覚えると、故障のリスクを減らせるので、それも投げ込みのメリットだと思いますね」

 ――3日目に視察に訪れた松坂大輔氏も投げ込みは重要だ…と。

 「彼は高卒1年目にいきなり16勝。ファンの皆さんが思うように僕は彼を怪物だと思っていましたし、そういうポテンシャルの高い投手でも投げ込んで自分をつくってきた…と聞き、凄く刺さりました。現役を引退して大輔と会話し、あれだけの投手でも新球を覚えたり、新フォーム習熟に毎年のように取り組み、完投能力を高める中で投げ込みをする。エースの責任や自覚を感じましたし、彼のようなポテンシャルの高い投手には、並大抵の努力では追い付けないと改めて思いました。(高卒2年目の)斉藤、日高と一緒に大輔の話を聞いていたんですが、考え方は間違っていなかった。答え合わせができ、共感できたのは良かったです」

 ――2人の反応は。

 「新鮮さはあったと思いますよ。大輔の調整は一番しんどい7、8回の疑似体験として、午前中にトレーニングや走り込みを済ませてブルペンに入ったりする。疲れた状態で腕を振らなくてもボールを投げるテクニック。攻めているようで、逆に自分を守ることになると僕は思うんです。若い2人だけじゃなく、中堅の投手もトライすることで、新しい景色が見えるプラスがあるともいえる。伸び悩んでいるなら何かを変えないと、プロの世界は厳しいので。ただ、小中高生らアマチュアには当てはまりません。体がある程度、できあがった投手を対象とした一つの考え方…と認識してもらえたら」

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