【22年ドラフト下位指名】日本ハム育成3位・山口アタル 底抜けに明るい「フィジカルモンスター」

[ 2023年1月24日 06:00 ]

新入団選手発表でも持ち前の明るさを披露した山口(撮影・高橋茂夫)
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 無限の可能性を秘める。日本ハムの育成ドラフト3位・山口アタル外野手(23=テキサス大タイラー校中退)は、昨年10月のドラフトで「超隠し玉」と話題を集めたカナダ出身の日系選手。底抜けに明るい性格もあり、すでにチームの人気者だ。海を渡って日本のプロ野球に飛び込んだ男が、1軍の舞台へ駆け上がる。

 大学時代には投手として最速153キロもマーク。身体能力を誇る山口は「フィジカルモンスター」の異名を取る。なにより、明るい性格が魅力の一つで、球団関係者からは「杉谷の再来だ」と昨年限りで現役引退した人気者の後継者との声も上がっている。

 大阪出身の父とギリシャ系カナダ人の母の間に生まれ、カナダ・バンクーバーで育った。プロ入りのために日本にコネクションがない中、各球団のメールアドレスに自身の体力面などをアピールする映像を送った。「返事がなかったり、“この方法で選手は集めていない”と返ってきたり…」と振り返るが、3球団の入団テストにこぎ着け、最終的に日本ハムに可能性を認められた。

 9日からは新人合同自主トレも始まり、打撃練習や外野の守備練習に取り組む日々。20日は休日にもかかわらず、グラウンドに姿を現してキャッチボールなどで汗を流した。大渕隆スカウト部長は「本当によく練習をする。性格も明るいし、人気が出ると思う」と評価する。環境に溶け込む努力は惜しまず、練習後には必ずチーム関係者らに「お疲れさまです!」と日本式あいさつも見せる。

 入寮の際に持ち込んだのが小学校低学年向けの漢字ドリル。日本語は日本テレビ「ガキの使いやあらへんで!絶対に笑ってはいけないシリーズ」などを見て覚えたというが、漢字の読み書きはできなかった。現在は、ほぼ毎日、30分ほど机に向かい「“水”はうまい。めっちゃ奇麗に書ける」と胸を張る。ダウンタウン・松本人志のファンで、手書きのファンレターを送るのが目標だ。

 打撃練習では豪快なスイングで「モンスター」の片りんを見せる右打者。実力は未知数だが、支配下登録に向けて春季キャンプから猛アピールしていく。(田中 健人)

 ≪ゲームも!ラーメンも!≫山口はカナダから漢字ドリルのほかに、任天堂の人気ゲーム「スーパーマリオブラザーズ」の敵キャラクターである「テレサ」のぬいぐるみも持参。同ゲームのファンで、約4年前にバンクーバーのゲームセンターでゲットしたものだ。「UFOキャッチャーみたいなところで、ポイント取ってもらったやつです」と紹介。日本食も舌に合うようで、お気に入りは寮の食事で提供されるラーメン。「毎日食べてて、本当に日本のラーメン大好き。(味は)ちょっと分からないけど、多分とんこつラーメン」と笑った。

 ◇山口 アタル(やまぐち・あたる)1999年5月28日生まれ、カナダ・バンクーバー出身の23歳。8歳で野球を始め、12年リトルリーグ世界選手権でカナダ代表入り。日本からは清宮(日本ハム)のいる東京北砂リトルが出場していた。ブリタニア高、コルビー短大を経てテキサス大タイラー校に編入。中退の形で日本ハム入り。1メートル79、89キロ。右投げ右打ち。

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