中畑清氏 2軍スタート巨人・浅野に1軍のレベル体感させるべき

[ 2023年1月24日 05:00 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】残念だなあ。巨人の宮崎キャンプメンバー振り分け。ドラフト1位の浅野が2軍スタートなんだよね。

 無理させないということらしいけど、そんな配慮は必要なのかな。浅野はいい体をしてるし、野武士的な雰囲気もある。高校生でも最初から1軍で競争させ、プロのレベルを体感させるべきだと思う。温室育ちの選手がファンに感動を与えるイメージは持てないんだよね。

 私が巨人の打撃コーチになった1993年。ドラフト1位ルーキー、松井秀喜のキャンプ1軍はノー文句で決まった。監督は話題性、ファンへのアピールを大事にする長嶋さんだったしね。

 フリー打撃では一打一打に口あんぐりだった。松井の打球は逆風でもライトの防風ネットを越え、振り遅れがレフトスタンドに入る。凄かったよ。それでも実戦に入ると左投手、変化球に対応できなくてさ。柔軟性がなかった。開幕メンバーから外れ、課題を持っての2軍スタート。5月1日には1軍デビューを果たし、この年11本塁打を放った。その後の活躍は言うまでもない。

 DeNAの監督初年度の2012年にはこんなことがあった。入団3年目の筒香(レンジャーズとマイナー契約)は右手首に故障があって、トレーナーから「スイングは100本まで」という注文をつけられた。冗談じゃない。それで壊れるんだったら壊して手術に踏み切った方がいい。リミッターを外して普通にやらせたら故障することなく、主砲に育ってくれた。

 かくいう私は駒大からドラフト3位で巨人に入団して1年目の76年。キャンプは2軍スタートだった。球団は自分のことをどう考えているのか疑問に思ったよ。でも頑張るしかない。大声を出して練習してたら、たまたま見に来たOBの川上哲治さんが「2軍に元気のいいのがいるじゃないか」と推薦してくれて途中から1軍へ。オープン戦終盤に大トンネルをやらかして2軍に落とされたけど、自分の力量、プロとしてやっていくのに何が必要かを知る上で貴重な時間だった。

 浅野にも早く一流のプロのレベルを味わってもらいたいな。途中から1軍に合流させてもらえるよう目いっぱいアピールしてほしい。(本紙評論家・中畑 清)

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2023年1月24日のニュース