難病を克服して夢を叶えた“忍者” ドラフト6位・田中幹也が中日を変える

[ 2022年12月3日 09:02 ]

中日から指名あいさつを受けたドラフト6位の田中幹也
Photo By スポニチ

 1日に名古屋市内で行われた中日の新入団選手の入団会見。育成を含めた10選手がズラリと並んだ壇上で一際、輝いて見えたのは攻守にスピードあふれるプレーが魅力のドラフト6位・田中幹也内野手(亜大)だ。

 同じ二遊間の名手、荒木雅博内野守備走塁コーチが現役時代につけていた背番号2をもらい「本当に良い番号をいただいたので見合う活躍をしたい。小さい頃から荒木さんや井端さんを見てきた。越していけるような選手になりたい」と決意を語った。

 公表されている身長1メートル66、体重68キロはチーム最小、最軽量だが、近くで見るともっと小さく見える。帽子のサイズは「散髪した直後は55センチ、髪が伸びると56センチ」だという。屈託のない笑顔はまるで小学生のようだが、その小さな体で大学3年時に発症した国指定の難病「潰瘍性大腸炎」を克服し、プロ入りの夢をつかんだ。

 会場で息子の晴れ姿を見守った父・茂さんは「病気になった時は国指定の難病ということで、この先の人生どうなるのかなと。野球うんぬんではなく、人としてどうやって生活したら良いのかと思った」と当時を振り返る。自身も東海大相模で遊撃手と主将を務め、プロ野球を目指した。何球団か誘いはあったというが、夢叶わず野球も高校で引退。それだけに喜びもひとしおで「自分の夢の続きを息子が演じてくれている。本当にありがたい」と感慨深げだった。

 直接視察した上で田中の指名を決めた立浪監督は最大級の賛辞を送った。

 「一言で良い選手。ドラゴンズの雰囲気を変えてくれる選手。彼の元気は素晴らしい。今のまま入ってプレーしてほしい」

 今オフはトレードでレギュラークラスの阿部、京田を放出。新人でもレギュラーを狙えるチャンスは十分にある。

 1年目の目標を問われた田中は「新人王を獲りたい」と言い切った。亜大では1試合6盗塁を記録した“忍者”が、広いバンテリンドームを駆け回る姿が早く見たい。
(中澤 智晴)

続きを表示

2022年12月3日のニュース