阪神・大山 土壇場同点弾空砲も「諦める理由なんてないし、誰も諦めてやっている人なんていない」

[ 2022年5月21日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2-6巨人 ( 2022年5月20日    甲子園 )

<神・巨>9回2死一塁、大山は同点2ランを放つ(撮影・大森 寛明)
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 阪神・大山悠輔内野手(27)が20日の巨人戦で“あと1球”の土壇場から同点7号を放った。チームの甲子園での本塁打は4月17日巨人戦の糸井以来だったが勝利に結び付かなかった

 2日連続零敗が目前だった9回2死一塁。2ストライクに追い込まれてから起死回生の一撃を左翼席へ。持ち込んだ延長戦は今季両リーグ最長5時間3分の激闘の末、12回に力尽きた。2連敗で借金14に後退。プロ野球初年度1936年当時の復刻ユニホームで挑んだ「伝統の一戦」は4月の敵地から4連敗に沈んだ。

 野球は9回2死2ストライクから――。敗色濃厚でも、諦める理由は一つもない。猛虎の背番号3が、その一振りで甲子園を興奮のるつぼに巻き込んだ。

 「投手陣が粘ってつないでくれていたので、何としても打ちたいと思っていました。甘く入ってきたボールを一発で仕留めることができてよかったです」

 9回2死から佐藤輝が遊撃後方にポトリと落とす安打で出塁。回ってきた4度目の打席で、頭は冷静だった。代わったデラロサの初球直球、続くスライダーを見逃して2ストライク。2球ともに高めに浮いてきたことを頭に残し、迎えた3球目だ。同じように高く来たスライダーを仕留めた。圧巻の放物線を描いて左翼席に着弾し、地鳴りのようなとどろきが響いた。

 前夜に神宮球場で今季11度目の零敗。本拠地に戻っても8回までは散発4安打でゼロ行進だった。大山も7回1死一塁で三ゴロ併殺打。1試合3本の併殺打は4月1日の巨人戦以来、2度目の拙攻にはまっていた。6回2失点の青柳をはじめ投手陣は連日の奮闘。土壇場で応えた。

 猛虎の主砲として一番虎党に求められる要素を兼ね備えている。昨年9月4日も1点劣勢の9回に守護神・ビエイラから逆転サヨナラ2ラン。巨人戦で9回に本塁打を放つのはこれで通算5本目だ。昨季まで主将を務め、主将を外れた今季もチームの先頭に立つ姿は不変。「諦める理由なんてないし、誰も諦めてやっている人なんていない」。チームの不振、そして自身も左足の故障に苦しむ中、前を向き続ける姿勢をアーチで見せつけた。

 両リーグ通じて今季最長の5時間3分の激闘に敗れ、最短22日に自力優勝消滅と苦闘は続く。「伝統の一戦~THE CLASSIC SERIES~」として両軍伝統の一戦の始まりとされる1936年の復刻ユニホームを着用した激突は、4月1日からの敵地3連戦を含めて4戦全敗だ。胸に刻む「OSAKA」の文字に込められた誇りを、21日からの残り2戦での勝利という形で表したい。(阪井 日向)

 ○…今季阪神の延長戦は6度目で0勝5敗1分け。延長戦で未勝利は西武(0勝1敗1分け)と2チームだけ。試合時間5時間3分は4月8日の阪神―広島戦、4時間53分を上回る両リーグ最長試合となった。阪神の試合時間5時間超えは18年8月4日のヤクルト戦、5時間11分以来4年ぶり。

 ○…ヤクルトが敗れたため、自力優勝の可能性消滅は1日延びて最短22日になった。条件は21、22日と阪神が連敗ならヤクルトの1勝1分け以上。阪神が1敗1分けでもヤクルトの連勝で消える。

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