阿部 復帰初戦で1号!みんな待ってた「最高です!」

[ 2016年6月1日 06:50 ]

<オ・巨>6回2死一塁、逆転の右越え2ランを放つ阿部

交流戦 巨人3-2オリックス

(5月31日 京セラD)
 この決めぜりふが聞きたかった。巨人・阿部は、復帰を待ちわびたファンに言った。「最高です!」。そしてこの2カ月間を「最低です!」と振り返って、笑わせた。

 右肩痛から復帰し「5番・DH」で迎えた約2カ月遅れの「開幕戦」。その瞬間は、1点を追う6回2死一塁で訪れた。西の外角球を強引に引っ張ると、右翼にライナーで突き刺さる逆転1号2ラン。「“開幕戦”でホームランを打ったことはないから。リハビリもしんどかったけど、帰ってこられて良かった」と満面の笑みでハイタッチを交わした。

 プロ16年目で最も長い2軍生活。5月6日、東京ドームでは「阿部慎之助デー」が開催されたが、「主役」は、ファームでいら立ちをあらわにしていた。送球練習で1球を投じるごとに「あーー!」と叫ぶ。右肩をかばって上体が突っ込み、約25メートルの距離すら思うように投げることができない。周囲には「自分に腹が立つ」と漏らしたこともあった。

 「こんなところでやっていても面白くない。進歩もないし」とも言った。リハビリ、若手の育成の場としてファームの重要性は理解している。「こんなところ」と言ったのは、自らを鼓舞するためだ。自身と闘いながら、若手には積極的に声をかけた。リハビリ中の高卒3年目腕・平良には「復帰までの明確な目標と日程を立てろ」とアドバイスする姿もあった。

 2軍の練習後には、都内や神奈川県内の治療院まで足を運び、注射や電気治療などありとあらゆるリハビリに耐えた阿部が、チームを交流戦白星スタートに導いた。3カードぶりにカード初戦を取り、勝率5割に復帰。打線は厚みを増し、高橋監督は「やっぱり阿部の名前があると違う。存在感は大きかった」と賛辞を贈った。

 午前6時に起きる習慣が付き、この日も7時には目が覚め、無理やり二度寝したという37歳。格別だった自身362発目は「完璧だった」と余韻に浸った。16年目のシーズンがこれで本当に開幕した。「なるべく早くグラウンドで守りたい」と阿部。マスクをかぶる日も近い。(神田 佑)

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2016年6月1日のニュース