【判決要旨】自助努力の更生ふさわしく、十分立ち直り可能

[ 2016年6月1日 05:30 ]

清原和博被告判決公判

(5月31日 東京地裁)
 【犯罪事実】

 2015年9月1日ごろ、群馬県太田市のホテルで覚醒剤を8万円で譲り受けた。16年2月1日ごろ、東京都港区のホテルで覚醒剤を使用。同2日、港区の自宅で覚醒剤を所持した。

 【量刑の理由】

 覚醒剤は少量とはいえず、自宅には成分が付着した注射器が複数あり、両腕には数カ所の注射痕があった。被告は08年にプロ野球を引退後に覚醒剤に手を出し、14年以降は知人から購入して繰り返し使用していた。依存性、親和性は顕著かつ深刻で、常習性は強い。

 引退後に目標を失ってストレスや膝の故障に苦しみ、監督になれない心の隙間を埋めるため覚醒剤に手を出し、仕事の減少や妻子との離別で孤独を感じた際に覚醒剤を使ったと供述する。だが覚醒剤の害悪は広く知られており、動機は酌量できない。悪質な犯罪で刑事責任は軽くない。

 しかし、被告は事実を素直に認めて反省し、二度と覚醒剤に手を出さないと誓っている。父親や親戚、知人が支援の意向を示しているほか、友人が出廷し更生を助けると述べている。被告は前科前歴がなく、甲子園球場を沸かせ、プロ野球を代表する打者として活躍するなど野球界で社会的貢献をしてきたが、事件の報道で厳しい社会的制裁を受けるなど酌むべき事情がある。

 自助努力による更生がふさわしく、十分立ち直りが可能と考え、保護観察は付けなかった。

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2016年6月1日のニュース