一二三 “サイド”の聖地で雪辱!相模34年ぶり夏白星

[ 2010年8月12日 06:00 ]

<水城・東海大相模>8回2/3を6安打3失点の東海大相模・一二三

 第92回全国高校野球選手権大会第5日は11日、甲子園球場で行われ、33年ぶり出場の東海大相模(神奈川)が初出場の水城(茨城)に10―5で大勝し、巨人の原辰徳監督(52)を擁した76年以来、34年ぶりに夏の勝利を挙げた。先発の一二三慎太投手(3年)は8回3失点ながら、打撃で本塁打を含む4安打3打点と活躍し、初戦敗退を喫した今センバツの雪辱を果たした。また仙台育英(宮城)は9回に三瓶将大外野手(3年)のファインプレーが飛び出し、開星(島根)に逆転勝ちした。

【試合結果


 満足できる投球ではない。でも勝ったことに意味があった。「うれしいの一言。サイドで勝てた。結果がすべて。自信になります」。サイドスローになって聖地に帰ってきた一二三が、春のリベンジを果たし、そして東海大相模に34年ぶりの夏勝利をもたらした。
 最速は145キロを記録した。しかし、体が開いて直球はシュート回転。今大会から武器にしたシュートとスライダーはことごとく外れ、甘い球を痛打された。8回2/3を6安打3失点。5イニングで先頭打者を四球で歩かせ、8四死球を与えた。投球については「50点。ふがいなかった」と振り返ったが、その分は「100点」をつけた打撃でカバーした。3安打して迎えた9回無死一塁では、直球を左翼席に運ぶ2ラン。「いつも本塁打を狙い、チームを勇気づける打撃を考えているので」。右手を掲げてダイヤモンドをゆっくりと一周した。
 今センバツは、大会屈指の剛腕と期待されながら、自由ケ丘(福岡)に8回4失点で初戦敗退。ショックのあまり、5月にサイドスローへの転向を決意した。ナインに披露した時は失笑された。6月。ネットにアップされた5月下旬のフォームを見た母・博子さん(53)は大阪の実家から「こんな投げ方なの?」と電話をかけた。一二三は「今はもっと格好いい」と反論した。覚悟を決めた男の意地だった。
 今秋のドラフト候補といわれる右腕の突然の変身。サイドへの急な転向は通常、筋肉に痛みを伴うが、一二三は入学時から腕の振りを鋭くする瞬発系のトレーニングで能力を発揮してきた。その1つはボウリングの球のような5キロのメディシンボールを使用したもの。通常、1年生は3キロから開始する。短期間で甲子園で145キロを投げるまで成長したのは、天性の強い筋力があるからだ。
 門馬監督は「一二三は粘り強さで春から成長した。悪いなりに勝った価値ある1勝」とうなずいた。「春のリベンジはできた。次戦でこの経験を生かしたい」と一二三。次こそ、怪物が聖地で本領を発揮する。

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2010年8月12日のニュース