ウルフ・アロン復活の五輪後初V「面白い人で終わるところだった」柔道全日本選抜体重別選手権

[ 2023年4月2日 20:11 ]

柔道全日本選抜体重別選手権最終日 ( 2023年4月2日    福岡国際センター )

<柔道全日本選抜体重別選手権最終日>男子100キロ級決勝でビデオ判定の末に技ありが認められて優勝が決まり、両手でガッツポーズするウルフ・アロン
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 男子100キロ級で、東京五輪金メダルのウルフ・アロン(パーク24)が6年ぶり3度目の優勝を果たした。昨年10月末の講道館杯で五輪以来の復帰も、3大会連続で優勝なし。特に同12月の国際大会は2大会連続で初戦敗退で24年パリ五輪へ窮地に立たされたが、反撃ののろしを上げる復活劇となった。

 決勝は出身道場の後輩で普段から練習でも組み合うグリーン・カラニ海斗(日体大)と対戦。序盤から体を浮かされる危ないシーンもあったが、試合途中から組み手を修正し、ゴールデンスコアの延長56秒、得意の大内刈りで技ありを奪い勝利。審判が相手の勝ち名乗りを上げるミスを犯すなど、最後までバタバタしながらも3試合を勝ちきった。

 「本当にちょっと柔道が強い、面白い人で終わるところだった。また来年の五輪につながると思う」。東京五輪後は依頼を1件も断ることがなかったと言われるほどの意欲的なメディア出演をこなしたが、一時は体重が130キロを超え、実戦復帰に向けてのハードルは高くなる一方だった。ケガやコロナで復帰戦がずれ込み、講道館杯では3位に踏みとどまったものの、その後は2大会連続初戦敗退。ウルフ本人が「パリに出られるか、出られないか、決まると思っていた」大会で結果を残した。

 初戦もヒヤリとする場面があり、続く準決勝は全身がつりながら、ワンチャンスをモノにして辛くも勝利。「五輪の時の自分が神格化されている面はあるが、あの時よりも弱い。7・5割くらい」という厳しい自己評価を追認するように、男子日本代表の鈴木桂治監督も「内容はほめられたものではない。良かったところは、あまりない」とバッサリ。しかしそれも、担当コーチとして金メダル獲得を支え、最強のウルフを知るがゆえの言葉。「気持ちを見せてくれたことが一番うれしい。ああいう泥臭い戦いがウルフ」と闘争心は評価した。

 年明け以降は稽古やトレーニングに注力。メディア活動は制限してきたが、優勝インタビューでは「ちょっとテレビに出すぎたなと思う」「酒を断っていた。お酒を飲みたい」「福岡の街に繰り出したい」と久しぶりにひょうきんキャラクターを解き放ったウルフ。つかの間の休息を経て、「2連覇を目指せる誇りを胸に」パリ五輪へ突き進む。

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2023年4月2日のニュース